気になって仕方ないこと
気になって仕方ないこと
戴冠式へ向かうために出発する日。
「お気をつけて行ってらっしゃいませ……」
意気消沈したアイルに見送られ王宮の城門に着いたのが先刻。
コアルシオン国には潜入したことがあるはずなのだが改めて表から入国するとまるで別の国のように思える。
「ご案内いたします。」
案内されたのは客室としてはかなり立派な部屋。王からの非礼の詫びと感謝のつもりなのだろう。
戴冠式は明日。着いて荷を解いて一息吐きたいところだが気になって仕方ないことがある。
「セラ様、どうかされたのですか?」
「いえ、実はね。王弟殿下の離宮で楽師としていた時に仕えてくれていた侍女がいるのだけど。」
「楽師に侍女をつけるとは……王弟殿下も中々ですね。」
「そうなのよね。で、その侍女をベルシュタイン家に連れて行ってもいいかと聞いたら断られてしまって。仕方なく王弟殿下とコアルシオンへ行ってもらったのだけど、置いてけぼりを喰らったようなのよ。」
「ええ!?他国に1人置いて行かれたと……?」
「そう。酷い話でしょう?まあ突然の戦にドタバタしてたし一緒に行ったらそれはそれで危なかっただろうから仕方ないのだけど……」
半泣きになっている顔が思い浮かぶ。さぞ不安な思いをしたことだろう。
「しかしどうなったのです?まさかスパイだと疑われて……」
「ないない。ちゃんとこの国の王女が面倒を見てくれてくれているそうなのよ。だからそこは安心なんだけど。」
「なるほど……確かに気になりますね。今どこにいるのでしょうか。」
「少し外に出て王弟殿下のお部屋がどこか聞いてみるわ。」
「それでしたら私がついて参ります。セラ様お1人では必ず迷子になります。」
「それは……そうだけど。」
「では参りましょう。どうせここにいてもセラ様のことです落ち着かず逃げ出しかねません。」
「人をなんだと思ってるの?」
「行ってらっしゃいませ〜」
柔らかくも楽しそうなサリアの声に送り出され部屋を出た。




