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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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得た功績の、使い方

得た功績の、使い方

「ベルシュタイン家セラフィーナです。王との謁見を賜りたく参じました。」

 そう言い紋章を見せると兵は直ぐに取り次いでくれた。

「急がせて悪いな。何がどうなっている?」

「私が知っていることから順に説明させていただきます。

 まずレオポルト殿下の便りと軟禁の件は……」

「知っている。お前が真相を暴いて実は1日で解放されたところまでは。」

「はい。実際の犯人は宰相に寝返った侍医でした。アラリック王子は重症には至らず、一命を取り留めました。」

「なるほどな。それからどうしたのだ?お前もそこにいて犯人を暴いたならまずかったであろう。」

「事もあろうかその宰相に顔を見られまして。狙われるのは明白でしたので夜のうちに商隊に潜り込み城の裏道を使ってベルシュタイン城に戻りました。そしてその翌日北の森に狩に出、敵を誘い出しました。」

「……レオの胃が痛むわけだ。」

「狙いが明らかな以上、合理的な判断です。作戦通りコアルシオンからの賊と近くに来ていたアイルデールは捕らえたのですが……」

「なんだ?」

「……王がお信じになるかは分かりませんが、蘇り狐を見ました。」

「それはまたすごいタイミングだな。伝承が本当に聞こえるぞ。」

「それが……喋ったのです。私のことをずっと見ていたと。今は蘇りの力はないが喋る力、見通す力は残っていると。」

「……なんだと?」

「作り話と思われても仕方ないのですが、一応報告はしておこうかと。」

「いや、お前がわざわざ作り話をする理由はない。俄には信じ難いが本当だろう。……まあお前が言わずとも後に来るアイルデールが騒ぎ立てるだろうが。」

「それもそうですね。そうしてアイルデールを尋問していたのですが……」

「戦が始まったと。」

「はい。兵が駆け込んできました。慌てて行くとそれは酷い状態で防戦一方であった我が軍を父と兄がなんとか立て直しました。」

「お前がエイマールの王子と話をつけたというのは?」

「そのことなのですが。」

「なんだ?」

「私は今回多少の功績を上げたという認識を王は持たれているのでしょうか。」

「コアルシオンに潜入しレオを解放、エイマールの王子と話をつけ撤退させたならかなりの功績だろう。望みでもあるのか?」

「……国の、関わることですので私がいくら願ったところで変わることはないのかもしれません。それでも。

エイマールの王子と話をしました。王子には特殊な性癖があり、それを含めて受け入れているシャッツェル王女とは非常に良いご関係なのだそうです。今回裏切ったのもアイルデールに弱みを握られシャッツェル王女を失いたくない一心でやってしまったのだとか。」

「……だが裏切ったことに変わりはない。」

「分かっております。ですので無理を承知で申し上げております。セレスティノ王子は後に直接王に詫びに来ると申しておりました。王は何らかの裁量を与えなければならないでしょう。ですがもし、もし叶うのならばシャッツェル王女と完全に引き離さないでいただきたいのです。でなければ私の説得に意味がなくなってしまいます。」

「……嫁をやった国が裏切る事の重さを分かった上での発言のようだな。そして先に自分の功績を確かめてから話すか……意外と欲があるではないか。それも人のために使うとは。」

「功績を上げたものは如何にそこから良いものを得るか知恵を働かせるのだとレオ様より教わりました。」

「なるほど、弟がな……いいだろう。お前の言葉、セレスティノの発言次第では汲んでやる。しかしいいのか?今ここでレオとの結婚を望めばコアルシオンの交易権など待たずに叶えてやれるぞ?」

「……それはなりません。この結婚は、全てのものが納得する形で行われなければならないのです。」

「それはお前の出自ゆえか?」

「はい。私の生まれは変えられません。それならばせめて相応しくあらなくてはならないのです。」

「……お前には義妹としてよく頼ることになりそうだ。今度妻にも会ってやってくれ。ああ、妻と言えば。」

「何でしょう?」

「妻がグラテシアから聞き出した内容によると地下に行って行方不明になったもの、聞こえる爆発音や物音が常々していたらしい。黒だと見込み屋敷に踏み込んだら出てきたぞ。それは悍ましいものだった。」

「……あまり聞いて嬉しいものではなさそうですね。」

「実験体に溢れていたからな。中には腐ったものまであったそうだ。」

「私もその一部となっていたかと思うとゾッとします。」

「全くだ。とにかくご苦労だった。この部屋を出て2階右奥の部屋にお前の褒美が用意してある。見て来い。」

「部屋ですか?」

「行けばわかる。さて、アイルデールを迎えるとするかのう。またな。」

「……失礼します。」

 

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