脳を侵す戦いの熱
脳を侵す戦いの熱
キィン!カンッ!キン!キン!
止まぬ剣戟の嵐。
「はぁ、はぁ……」
強い。間合いの詰め方が異常に早い。一瞬でも気を抜けば持っていかれる。
だが間合いの詰め方には癖がある。溜めだ。長い距離を詰める時は一瞬だが溜めがある。
「君女……っていうか令嬢だよねえ。なんでそんな強いの」
「答える義務は?」
ニヤリと笑った男が答える。
「……ないね。」
……来る。詰めてきた男の間合いに入り込んだ。戸惑った男の隙を逃すつもりはない。迷わず狙った首は避けられ浅く胴を切った。
「やるな。今のは危なかった。」
思考が、感覚が、研ぎ澄まされて行く。このギリギリをどこかで楽しんでいる自分がいることにも。それはまるで気付いてはいけない罪のよう。
「ねえ、お姉さん……楽しんでるでしょ。」
キイィン!ギン!
上に跳ぶ。頭から刺すつもりだった件を避けた先の地面が揺れる。背後から向かいくる剣に反応すると掠めた剣先。「楽しーけどいいの?これ以上君ここに長居したら戻れなくなっちゃうよー?」
「……そうですね。次で決めます。」
次。間合いに入ってきた時、剣を受けた上で切り返す。それが最善だ。やるしかない――――
「そこまでだ!」
「レヴィン、なんだよいいとこだったのに。」
「王子が、貴女に会いたいと。傷つけてはならぬとのことだ。」
「は?正気かよあの王子。だから連れてくんなつったろ。」
軍からの評価も、国での立場も低い王子。そんな彼は今どんな思いで戦場に立っているのか。
レヴィンと呼ばれた男に連れられながら話すべき言葉を考えていた。




