裁きの間に響く、戦の号砲
裁きの間に響く、戦の号砲。
今は冬だ。何もしなくったって寒い。だが城の中は基本暖かい。そのはずなのだ。
ただし、この部屋を除いては。
「……して、アイルデール卿。我が娘を1度ならず2度までも狙うとはどういうことか?」
そう、部屋の温度を下げている張本人、エルシウス・ベルシュタイン。セラもかつてアイルデール側で味わった事があるこの寒さは敵ながら同情してしまうほどだ。
「わたしは……ただ、妻をもう一度この手に抱き締めたかっただけだ。」
「そのために何人もの人間が犠牲となり、我が娘も犠牲となりかけたということか?」
「貴殿も分かるだろう!妻も、後妻も失ったことのある貴殿なら……」
「後妻は候補だ。確かに私は妻も、妻の流産により娘も失ったことがある。貴殿の気持ちに一切の理解がないわけではない。」
「では……!」
「だがその愚かしい術とやらに頼り人を実験に使うなど猿も驚きの頭だ。何の同情の余地もない。さっさと王都に送れ……」
「エルシウス様!」
駆け込んできたのは近衛兵、ロビンだ。
「何事だ。」
「敵が……コアルシオンが攻め込んできました!第一堤防は突破され第二も危うい状況です!」
「何だと……直ぐに向かう。その男は牢に入れておけ。イザーク、行くぞ。」
「私も向かいます。」
「……お前はダメだ。」
「何故ですか。昔私がイザーク様と共に出陣することを許されたと聞きました。」
「……いいだろう。ただし危険だと判断すればすぐに返す。いいな。」
「分かりました。」
「セラ様、戦に行かれるのですか!?」
「ええ、思ったよりもずっと早い……このままでは持たないわ。」
「何故セラ様まで……」
「ここまで来たなら最後までよ。いい?必ず帰るわ。お菓子とミルクセーキを用意して待ってなさい。」
「分かりました……」
剣と鎧を手に、城を出た。




