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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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王女として、将軍として

王女として、将軍として。

「アラ、調子はどうだ?」

「悪くない。少しなら立てそうだ。」

「無理はするなよ。」

「ああ、分かってる。」

朝、どこか落ち着かない宮廷を抜けてアラリックの部屋に着いた。アンツェルーシュは昨日1日動かなかった。今日、やるしかない。

「レオは?」

「もう来るはずだ。」

そう言ったタイミングでレオが入ってきた。

「今日、やるよな?俺がアンツェルーシュを引きつける。その間に行け。」

「了解した。すぐ動くか?」

「その方がいいな。俺が先に出る。」

青白いアラリックの顔を見、この国の未来を憂わずにはいられない。

幼き日、見えていなかった今の未来。

エルナの目には、勇ましく戦う父と、異母兄妹にも関わらず、それなりに仲の良い兄妹に恵まれた平穏な未来があった。

父のようになりたいと思った。だから軍人になった。

きっと、父の戦の才を1番色濃く受け継いだのはエルナだろう。他の誰も、積極的に戦おうとするものはいなかった。

だが晴れて軍人となった日、父は既に腐敗への一歩を踏み出していた。将軍となった日、伝えた父は何も言わなかった。エルナが軍人となることを止めもしなかった母親は何を思っているのか今も分からない。双子でもないのに生まれながら隣にいたアラリック。母親に似て、真面目なのにどこか人を黙らせる圧を持った兄か弟かよく分からない男。

腐敗していくかつての英雄を見て、アラリックが王となることを願うようになった。このままでは、この国は滅びてしまう。この国の王女として、将軍として、それだけはさせられない――――

誰かに、守られたいなんて思わない。けれどただ少し。この重圧を飛ばす何かを願わずにはいられなかった。

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