鳥だけが聞いている
鳥だけが聞いている
「アンツェルーシュの動きがないな……」
「手先だけ派遣して自分は残るつもりなのかも知らん。」
「今日やるつもりだったが、どうする?」
「……1日伸ばそう。そうすればアラの調子も少しは良くなる……はずだ。」
「そのつもりだよ。」
「アラ、大丈夫か?」
「この通り起き上がれるようになってきた。立ち上がれるのも時間の問題だ。俺の名の元にアンツェルーシュを捕まえれば流石のやつも抵抗できない。悪いがレオ、エルナ、頼むよ。」
「ああ、任せておけ。」
「アマリエル様には私から知らせよう。あまりレオと接触し過ぎても疑われかねん。」
「そうだな。」
今日、セラは北の森に行っているはずだ――――
狐が出ると言う、北の森。そこに必ず敵は捕まえに来ると踏んで作戦を立てた。自分を餌にすると言った時は何としてでも止めようとしたが鉄の意志を持った女はこれが1番合理的だと言って聞かなかった。
「はぁ……」
「……お前も苦労するな。」
「……何がだ」
「あの娘だ。」
「特異な環境を生き抜いたせいだろうな。自己意識の低さだけはどうにもならん……」
「まあ勝算は高そうに見えた。娘の心配をしてお前がヘマしたら意味がないぞ。」
「分かってる。」
守る、その役目が自分であれば。常にそばにいて、留め置くことが出来たらと何度願ったか分からない。
セラはきっと嫌がる。セラは、自分の足で立ち、戦うことを望む女だからだ。
「そこに惚れたんだがな……」
廊下に漏れる呟きを、鳥だけが聞いていた。




