その目が見据えるもの
その目が見据えるもの
ドアを叩く音がした。食事はさっき届けられたばかりだ。処遇でも決まったか。
ドアを開けるといつもの薄笑いの顔があった。
「レオポルト殿下、我が国の非礼を心よりお詫びいたします。真犯人が捕まりました。これにより殿下を解放いたします。」
「貴様、これが、どういうことか分かっているのか?」
「ええ、アーノルト王はさぞお怒りになることでしょう。我が国もそれなりの賠償は行うつもりです。」
「それだけで済むと思っているのか?アラリック派は黙っていないぞ。」
「ええ、そうでしょうねえ。ですが真犯人を暴いた人物が誰かをご存知で?」
「俺が知るとでも?」
「美しいスモーキーグリーンの瞳を持った侍女でした。まさかエルナ様があのような侍女を雇っていたとは知りませんでしたなぁ。」
背筋が凍る。あの瞳を持つ者などそういない。ましてやこの宰相がその存在をコアルシオン内に認めたとしたら。
「貴方はとても聡明だ。だが愛するものを失った時、貴方はどうなるのでしょうねえ。王の器も持たぬ貴方は死に物狂いで軍を率いて私を殺しに来るでしょう。」
「貴様……!」
「まあそう怖い顔をなさいますな。まだ何も起きていないのですから。」
「何を企んでいる……!」
「私はただ、この国のためになることをしているのですよ。」
薄笑いを引っ込めたアンツェルーシュの細い目は、その目にしか見えぬ未来を見据えていた。




