毒の策謀
毒の策謀
『全く晩餐会と言っても話しにくいな。どこで誰が聞き耳を立てているか分からん。』
『こういう形式ばったのはどうしてもな……』
『お前の恋路の話を聞きたいがそれすら危なそうだ。』
『……なんでお前まで知ってる。』
『エルナにちょっとね。それに少し噂では聞いていたんだよ。』
『あいつ.……!』
『いいじゃないか。にしてもお前の相手か。想像もつかないな。』
『つかなくていい。お前そこそどうなんだ。周りは煩い。』
『煩すぎて逆にやる気にならないね。ここまで来たら1番利のある縁談にするしかないけど正直今は誰が味方かすら分からない状態だ。』
『お前に嫁ぐ女は運がいいだろうがな。』
『よく真面目で面白みがないと言われる。女はお前の専門分野だろう。』
『もう足は洗ったんだ。俺もただの愚かな男だ。』
『俄には信じられないな……それより覚えてるか?』
昔話で盛り上がった晩餐会は和やかに終わりを迎えようとしていた。
『それであの時……っておい、大丈夫か?顔が土気色だ。』
『分からん。急にお腹が……うっ!』
毒だ。瞬間的に察知した。
『アラリック!医者は!』
『こ、ここにおります。』
『ぼさっとするな!早く連れて行け!毒かもしれんだろう!』
『何故毒だと?』
聞こえた声に失言に気づいた。
『食事中何の前触れもなくあのような症状……昨今アラリックは対立の渦中にあるとか。疑っても仕方がないかと。』
『貴方様もまた敵国の王子を狙う理由は十分にある。毒味役は無事だった。ということは晩餐中何者かが仕込んだことになりますが……』
『……何が言いたい。』
『貴方様以外いない、ということですよ。処遇についてはそのうちに決めましょう。それまでは部屋で大人しくしていただきます。』
『何の真似だ!仮にも外交で来ている王族を捕らえれば王が黙っていないぞ!』
『構いませんよ。どうせ、どの道黙っていられなくなるのですから。』
ここ数日、妙に大人しいと思っていた。
これが狙いだったか―――
『戦争をどうしても始めたいようだな。』
『ええ。それが何か?』
最早隠しもしない。笑うアンツェルーシュの目に見える狂気が、連れ出されるレオを見下ろしていた。




