軍事視察に見える違和感
軍事視察に見える違和感
「本日は我が国の軍事施設をご覧いただきましょう。案内はこのマクレイン将軍が務めます。」
「マクレインと申します。では、参りましょう。」
マクレインはいかにも将軍といった風貌の男だった。髭を生やし、太い眉毛に鍛え上げられた身体と傷は彼が歴戦を戦い抜いてきたことを示している。
アンツェルーシュの紹介というのであれば宰相派の人間なのだろう。しかしこの将軍はそれ程非人道的には見えない。アンツェルーシュの表向きの顔がいいのか、それとも別に目的があるのか。
「こちらが兵舎になります。」
統率の取れた兵士。実力は悪くない。だが場内から発される緊張感。
「こちらが訓練場。我が国の精鋭をご覧ください。」
レオが軍を持つことを知ってから知らずか。王族用の演武披露までご丁寧にしてくれる。揃いすぎた動き。精鋭と言ってはいるが見せ物用だろう。
「こちらが兵站庫になります。」
(兵站庫にあの警備の数....何かあるな。)
一見して違和感のない兵站庫。食料、保存食、衣服や軍靴に予備の武具ストック。ややバラツキがあるのは気になるがそれほどではない。周りを見まわし地面も見てみるとそこには違和感があった。
泥汚れが多すぎる。それも土は国境付近の赤土に近い色だ。
(どこかで既に戦を始めているのか...?)
「そしてこちらが武具庫になります。こちらの弓は最新式でして、輸出出来れば両国に取って益になるかと。」
「確かに良い弓だ。また王には聞いておこう。」
「こちらが国境の砦、城壁です。堅固な防壁はどんな屈強な軍も通さぬ強さを誇ります。」
それは暗にカルディアに勝ち目はないと言いたいのか。
「あちらの方は?」
「残念ながらあちらは立入区域でして。なんでも危険な動物が出るとか。」
「そうか。」
何かあるのは間違いない。それもアンツェルーシュ絡みの何かが。
(一刻も早くアラリックと話したいところだが.....)
多くの違和感を残し、視察を終えた。




