宝石の光、甘い罠
宝石の光、甘い罠
「晩餐後、西棟の方へいらしてくださいな。お一人で。」
小声で告げられ、西棟へ向かっているわけだが....
「クシェル、俺の姿が見えなくなったら遠慮なくドアを蹴破れ。いいな。」
「分かっております。」
廊下を進むと変わらず妖艶な雰囲気を纏った女が立っていた。
「あら、本当にいらしてくださったのね。さあ、こちらへ....」
そう言いながら腕を絡めようとする女の手を軽く払う。
「失礼。いくら殿下がいるとはいえこれでは噂が立たぬとは言えぬでしょう。」
「....そうでしたわね。軽率でしたわ。」
歩き、前に来た部屋はどう見ても.....
「お妃様の寝室では?」
「ええ、そうよ。この中に宝石があるの。勿論殿下もいらっしゃるわ。ほらここに。」
アマリエルがドアを開けた中に見えるのは酔った王の姿。
「.....失礼ながら王は大変酔われているようです。知らぬ間に他の男が入っては王も不快に思われましょう。」
「まあそう仰らないで。宝石だけ見ればいいでしょう?」
「確かに興味があるとは言いましたが身の危険を冒す程ではありません。今晩はお暇させていただきます。」
「あら.....残念。ではお詫びにこれだけでもお飲みになって。侍女にこだわって作らせているの。酒の後にいいのよ。」
「それはありがとうございま......」
何かが鼻を掠めた。その匂いにレオは覚えがあった。
「お飲みにならないの?」
「.....アマリエル妃。私は2度同じ失態はしないと決めているのです。何が目的です?」
「..........残念ね。相手には困ってないのかしら?」
「困っていますよ。振り回されてばかりでして。」
「........そういうこと。あの男の言った以上のようね。」
「あの男とは?」
「さあね?私に騙されなかったことを免じて見せてあげる。これが宝石よ。」
青白く発行するそれはサファイアとも違う。美しいよりも神聖という言葉が合うような輝きを持った宝石は確かに価値のありそうなものだ。
「人を癒す宝石と言われているわ。嘘かは分からないけれど。」
「.....貴女は誰の味方なのです?」
「私?私は私と娘が一生不自由なく暮らせるようにしたいだけ。それだけよ。」
「....そうですか。失礼します。」
...あの女が宰相に言われてやったことには間違いない。この外交の間に何としてもレオを陥れ、戦争を煽るつもりだろう。
残るは7日。
生き残るしか道は残されていない。




