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空虚を打ち消した面影

「んああっ....ああん!」

軋むベッドの上で、品もなく喘ぐ女。

ただの、暇潰しだ。レオの言葉一つで簡単に落ちてくる、つまらない女。

どうせ結婚はそのうち決まる。好きでもない相手との結婚。そもそも誰かを好きになったことなどない。それがどれ程無意味か、知っていたから。

『それもいいかもしれませんね。』

ふとそう言って笑った女の顔が浮かんだ。

「ああっやっ.........レオ様?」

「.........萎えた。帰る。」

「そんなっレオ様!」

「名前で呼ぶな。苛つくから。あとここにはもう来ない。伝えておけ。」

セラの、顔を思い出した瞬間何かが冷めた。自分があれだけ必死に、女を探したのは初めてだ。

もし抱いたのがセラだったら。

大事にしたいと、思うんだろうか。

「殿下!これはまた微妙な時間に....何があったのです?」

「大したことじゃない。それよりクシェル。明日から朝帰りはやめだ。飽きた。」

信じられないものでも見たかというようなクシェルの顔だが無理もない。

「正気ですか?」

「正気だな。」

「....その村娘に手を出したわけでは」

「ない。断じてない。ただあの娘以外では萎える。それだけだ。」

「萎え.....貴方様が?」

「お前主人の生々しい話を聞きたいのか?」

「遠慮しておきます。早く帰られるのは喜ばしいことです。屋敷一同手を挙げて喜びましょう。」

「好きにしてくれ。」

セラの面影が、消えてくれなかった。

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