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王弟が愛した娘 —音に響く運命—  作者:


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隣に、いない人

隣に、いない人

何日、経っただろうか。

数日前からずっと隣にいてくれた人がいなくなった。仮面の男も、コアルシオンのことも何一つ終わってない。 

『俺の元で、俺の腕の中で休んで欲しい』

そう言ったのは、私の夢が創り出した幻想だった。

重い身体を持ち上げてみた。肋骨に走る鈍い痛み。だが背を下に寝ていても傷が痛む。どうせ痛むならどの態勢でも変わらない。 

「セラ様、まだ起きてはなりませぬ。お休みを...」

「どちらでも痛むので。レオ様は....」

「殿下はどうしても行かねばならぬ場所があると一昨日立たれました。3-4日後には戻られるはずです。」

「そうですか......。そういえば礼を言っていませんでした。助けていただきありがとうございます。」

処置を見ていても有能な医官だった。相当な重病だっただろうに。

「....礼なら殿下にお伝えくださいませ。貴女様を見つけ、ここまで抱えて泣きながら側に居続けたのです。殿下のあのような姿は正直初めて見ました。」

「そう....ですか。」

ずっと、隣にいてくれたことは知っていた。握ってくれている手が震えていたことも。

「しかし非常に回復が早いですな。驚きました。」

「まあこれぐらいなら...死にはしないという算段で降りたのですが、少し甘かったですね。」

「発熱は恐らく心から来たものでしょう。随分お疲れだったのではないでしょうか。」

「そう、かもしれませんね。」

「これを機会にゆっくり休めると良いのですが。」

「....そういうわけにもいかないでしょうねえ。」

苦笑いと共に思い出される現実。レオはすぐにでもここを出なければならなかったはずだ。それを恐らくセラの状態のために無理矢理引き伸ばしてくれている。

ここにはいれて2週間が限度だろう。その後は....

考えたくない。それでも分かっているのはレオとはいられないということだけだ。

(あの人といたくて戻って来たのにな....)

水を飲み込んだ。飲み込むたび、響く痛みがどれくらいら続くのかと考えると重い気分になった。

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