そばにいたい。許されない願い
そばにいたい。許されない願い
3日間、意識が飛んだり戻ったりで油断ならなかった病状は僅かに落ち着き、少しの水分が取れるようになった。セラの元に張り付いて離れないレオに、クシェルは何も言わなかった。
「貸せ、俺がやる。」
食べさせる役目を奪い取るとセラは瀕死なのに呆れた目で見ていたが、大人しく食べてくれた。
折れた肋骨と背中の裂傷はそう簡単に治りそうもない。1ヶ月以上は安静にしなければならないだろう。
だがここに1ヶ月留まるわけにはいかなかった。仮面の男は恐らくアイルデールだろう。だが証拠がない。証拠がない以上やはりアラリックと一度話すのが得策だろう。巷ではコアルシオンが俺を殺そうとしたとの噂が出回り、このままでは開戦の歯止めが効かなくなってしまう。
「クシェル、どれくらいが限界だ。」
「1...長くて2週間でしょうか。アラリック王子には書簡は出してあります。セラ様を動かすにしてもせめてあと少し落ち着かないと急変しないとも限りません。」
「.....2週間だ。2週間だけ何とか抑えてくれ。そしたらセラをベルシュタイン家に連れて行く。」
「話はどうされるのです?」
「明日、俺の方から出向いて話をつける。側に居てやりたいところだが、万が一のことを考えると敵も恐らく混乱しているであろう今が最善だ。」
「.....分かりました。マリウス含め護衛は十分に連れていってくださいね。」
「分かっている。」
医務室に戻るとセラはまた眠っていた。
生きていることを確かめるように髪、頬、首筋に触れて熱を感じる。
明日からまた、離れなければならない。
こんな状態の彼女を置いて。自分の不自由な立場をこれ程呪ったことはないだろう。叶うなら俺の元で、気が済むまで休んでいて欲しい。
だが、それは叶わないのだ。




