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声無き声が、俺の名を呼んだ
声無き声が、俺の名を呼んだ
ピクッ
握っていた手が微かに動いた気がした。
「セラ.....?」
ゆっくりと、開いていく瞼。
「意識が....意識が戻ったぞ!直ぐに処置を。」
侍女たちが慌てて水を含んだ布を唇に当て、湿らせていく。
セラが動かない身体を必死に動かしてこちらを見た。
「レオ様....」
声にならない声が、自分の名を呼んでいるのだと分かった時、張り詰めていた物が抜け、身体の震えを感じた。泣いているレオを見たからだろう。その目には心配の色が宿っていた。
「お前な.....こんな時ぐらい俺じゃなくて自分の心配をしろ。」
「その通りです。まだ余談は許されません。」
医師の言う通りだった。それでも。
ここに、俺の元に戻ることを選んでくれた。
ただ、そのことが嬉しくて堪らなかった。
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。




