森が返した最後の光
森が返した最後の光
馬の駆ける音が静かに暗がる道に鳴っている。
複数の死体に森まで続く足跡と血痕。
ほぼ間違いなく、セラが戦った跡だと考えていいはずだった。セラが、1人で戦っている。
死場所を求める彼女がそうまでして抗う理由はここに戻るためだ。レオの元に戻ろうとして、セラは抗っている。
(なら、俺は?)
ここにいて、守られているのが王弟としての責任だ。そんなことは分かっている。だが――――
待つことなど、出来なかった。
部屋を抜け出し、馬に乗って駆けて行った主にクシェルは怒るだろう。
アップハング付近。マリウスはそう言った。
見えて来た獣道と森。見えるのは複数の人影。
「殿下!」
「何故こちらに......」
捜索に出ていた部下たちの驚く姿にまだ見つからないことを悟る。
「.....森は探したのか。」
「森を徹底的に捜索し、敵と思われる男の死体があちこちに見つかりました。ですが....」
「セラは見つかっていないんだな?」
「はい。森を抜けた先は崖です。追い詰められ捕まった可能性も...」
弱気になる部下を睨み、その崖の元まで走った。
高さはそれなりにある。もしここでセラが追い詰められていたとしたら。
(あいつなら、やりかねない。)
「殿下!?どちらへ!」
走り出したレオに焦る部下の声を無視して駆けた。走り続けていれば崖の下に繋がる道があった。
(生きて、いてくれ....)
陽は最後の力を振り絞るように微かな灯りを残していた。
沈み切る前に、どうか。
願いと共に道を進み続けた。陽が力尽きて姿を消した。
これ以上、森の中にいれば危険だ。
もう見つからないと諦めかけていた。
最後、あと少しだけ。
ガサッ....
前から音がした。
現れた人影に、息を呑んだ。
「レオ....様?」
「セラ.......!」
駆け寄ってその身体を抱き締めた。その身体が異様に熱いことに気付いた。
「セラ....?」
セラの意識は、もうここにはなかった。




