第73話「決起集会、です!」
「一件落着、です!」
ぱんっと両手を叩き、雅が満面の笑みを浮かべる。
「よかったねぇ〜、レミレミぃ♪」
雫がにこにこと頭を撫でる。
「はいっ……ほんとうに、よかったですわ……」
レミアムは目元に涙を残したまま、それでも晴れやかな笑顔を見せた。
「まったく……」
リリスは小さくため息をつきながらも、口元にはわずかな笑みが浮かんでいる。
和やかな空気が流れた、その時――
「そういえばさぁ〜」
雫が軽い調子で切り出す。
「お宝の件はどうなったのぉ?」
「そうです!」
雅がぱっと身を乗り出す。
「学校に何かあるかもって、師匠が言ってたです!」
「古文書に書いてあったって言ってたけどぉ……どんなことが書いてあったのぉ?」
雫が首を傾げる。
「ふむ……」
リリスは腕を組み、目を閉じて重々しくうなずいた。
「正式に同盟を結んだのだから……お前たちにも話してよかろう」
「さすおねですわっ!」
レミアムがぱぁっと顔を輝かせ、勢いよくリリスに身を寄せる。
「こほん……わが家に眠る古文書には、数多の叡智と記録が刻まれておる」
リリスは声を落とし、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「数多の叡智……魔界にはそんな本があるんだねぇ……」
雫はごくりと喉を鳴らした。
「さすおねですわっ!」
「ですっ!」
「……コホン」
リリスは姿勢を正し、少しばかり気まずそうに咳払いをした。
「その古文書には……ガッコ……いや、学校がやけに頻繁に描かれておったのじゃ」
「学校……です?」
雅が小首をかしげる。
「そうそう、なんで学校なのぉ?お宝ってもっとこう……洞窟とか遺跡に眠ってそうなのにぃ」
雫が肩をすくめる。
リリスは静かに首を振った。
「古文書には……学校には“七つの不思議がある”と記されておった」
「七つの……不思議……!」
レミアムが息を呑む。
「さすがオネェ様ですわ!その”七つの不思議”の中にお宝の手掛かりがあるのですわね……!?」
「七不思議……」
雅の目もきらきらと輝く。
「もしや夜の学校を探検したりする、です?ち、ちょっと楽しそう、です!」
「遊びではないぞ!」
リリスはぴしゃりと釘を刺す。
「古文書に描かれておったのは、七不思議に触れた子供たちが……悲鳴をあげ、姿を消す絵もあったのじゃ」
「ひぇぇ……こわいっ……です」
雅はぶるりと肩を震わせ、思わずリリスの袖をつかむ。
「ですが――」
レミアムが胸を張り、堂々と宣言した。
「わたくしたちは行きますわ!七不思議を一つ一つ確かめ、必ずやお宝の真実を手に入れましょう!」
「が、頑張る、です……」
雅は青ざめつつも、必死にうなずいた。
「……ふむ。皆がその気ならばよい。だが繰り返すぞ――これは遊びではない」
リリスは鋭い眼差しを向ける。
「気合いを入れて挑むのじゃ!」
「「おーっ!」」
……その熱気に包まれる三人の横で。
雫はひらりと髪をかきあげ、小声でぼそりと呟いた。
「……どう聞いても、それって学校の怪談だよねぇ……」
誰にも届かぬその言葉は、静かに空へ消えていった。
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