第71話「清々しい朝?」
───明くる日 天明寺の朝
「おはようございます、ですっ! お師匠様!」
「……んぁ……おはよう、雅」
欠伸まじりに、眠そうなリリスが応じる。
「大丈夫ですか? すっごく眠そう、です」
「うむ……少し、眠れなくてのぅ……」
リリスは目をこすりながら、ふらりと縁側に腰を下ろす。
「無理は駄目、です! 今日は修行、お休みにしましょう、です!」
心配そうに身を乗り出す雅。
「いや……大丈夫じゃ。これくらい、問題ない」
リリスは気丈に笑おうとするが、その目はまだとろんとしている。
「……昨日、何かあったです?」
雅は小首を傾げ、不安げに覗き込む。
「ぶちょーのお家、一緒についていけば良かった、です……」
「いや、本当に───」
リリスが答えかけた、その時。
「ごめんくださいませですわーーっ!!」
バァンッと玄関の戸が開き、朝の静けさを粉々に砕く甲高い声が響いた。
「……っ!?」
リリスと雅が同時に振り返る。
そこに立っていたのは、絢爛なドレスを翻し胸を張る令嬢――レミアム。
「れ、レミアム!? どうしてここにおるのじゃ!?」
「ふふっ♪ 昨日のうちに雫にお願いして、ここまで連れてきてもらいましたの!」
「にゃははぁ〜、なんかゴメンねぇ」
後ろから、のんきな顔で雫がひょっこり現れる。
「ぶちょー! おはようございます、です! それと……レミアムさん? もおはようございます、です」
雅が慌てて頭を下げる。
「おはよ〜、ミヤビン♪」
雫が手をひらひら。
「あら、初めましてですわね」
レミアムは優雅に裾を摘み、にっこり微笑む。
「おはようございます。わたくし、レミアム・コーリルと申しますの」
「小さいのに、しっかりしてる子、です! よしよし」
雅がにこにこしながら、頭を撫でる。
「ちょ、ちょっと!? 小さいって言わないでくださいましっ!」
レミアムは真っ赤になって抗議する。
「これでも淑女として──あっ、だから撫でないでくださいましっ!?」
「んふふ〜、可愛い、です♪」
「か、可愛いじゃありませんわぁぁっ!」
縁側の朝に、少女たちの騒がしい声が響き渡った。
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