表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/94

第63話「イケメンは罪である」

───天明寺


「ただいまッス!」

勢いよく襖を開けるバル。


「おかえりなさい、バルさん」

蓮が穏やかに微笑む。


「いやぁ〜……なんだかキナ臭い話が耳に入ったんで、急いで帰ってきたッスよ」


「キナ臭い話……ですか?」

蓮が眉をひそめた、その時。


「──他の魔王候補のことじゃろ?」

いつの間にか現れたリリスが、湯飲みを差し出す。


「ありがとッス!」

バルは受け取り、ひと息ついた後、表情を引き締めた。


「そう、その通りッス。どうやら……他の魔王候補も、人間界に拠点を求め始めてるみたいなんスよ」


「……やはり」

蓮の声が低く落ちる。


「じゃな……」

リリスが静かに頷いた。


そして二人は互いに視線を交わす。

「予想が正しければ──恐らく雫の背後には、すでに別の魔王候補の影が……」


その時。


「……こんにちは、です……」

ひどく控えめな声が、玄関の方から響いた。


「む? 雅か?」

リリスが顔を上げる。


「迎えに行ってきますね」

蓮はすぐに立ち上がり、足早に廊下を進む。


「師匠ぉ……こんにちは、ですぅ……」

やって来た雅は、どこか元気がない様子で頭を下げた。


「何じゃ、顔色が冴えんのぉ。何かあったのか?」


「ぇ、えっと──実は……」


その時、雅の後ろからひょいと顔を出す影があった。


「こんにちわぁ、お師匠さん」


「むっ? 雫……!」

リリスの目が細まり、声にわずかな警戒が滲む。


「はい、雫ちゃんですぅ」

雫はいつもの調子でにこやかに手を振った。

「この間はゴメンねぇ、一人で勝手に盛り上がっちゃって……」


「……別に気にしてはおらん。じゃが、謝罪は受け取ろう」

リリスは静かに返す。


その様子を横で見ていたバルが、声を潜める。

「リリス様……いいんッスか?」


「ふぅ……わかっておる。じゃが無碍にはできんよ」



「……了解ッス」

バルはそれ以上は踏み込まず、肩をすくめる。


「よかったぁ、ですぅ部長ぉ〜」

雅が胸をなでおろす。


「無理を言って連れてきてもらって助かったよぉ、ミヤビン」

雫がにっこり笑い、雅の腕にしなだれかかった。


そこへ──


「──お茶菓子を持ってきました」

蓮が人数分の菓子と湯飲みを盆にのせて戻ってきた。


「いつもすまんのぅ、蓮」


「いえいえ、気にしないでください。さ、皆さんどうぞ」


「ありがとうございますぅ……」

雫は湯飲みを受け取ろうとしたが、その手がぴたりと止まった。


「……ぶちょー?」

雅が小声で覗き込む。


「あ、あぅ……その……」

雫は顔を真っ赤にし、ちらりと蓮を見ては慌てて視線を逸らす。


「どうかいたしました?」

蓮が柔らかく微笑む。


「な、なな、なんでもないですぅぅぅ……」

耳まで赤くして照れる雫。


リリスが目を細め、低く呟く。

「……やはり、敵かもしれん」


「リリス様っ!?」



気に入っていただけたら、評価・ブクマで応援してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ