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第20話「ミッション開始ッス」

天明寺・境内。



バルは戦闘態勢に入っていた。


 


「リリス様の男かッ!!」


 


叫ぶなり、バルは一直線に飛び出す。


そして──


 


「消滅せよッ!!」


 


鋭い拳を振り上げ、一直線に蓮へ向かう!


 


だが──


 


「っと……」


 


蓮はわずかに身体をずらし、軽やかにバルの拳を避ける。


 


「なっ……もう一発ッ!!」


 


二撃目も、三撃目も空を切る。蓮は一歩も動かず、静かに体をずらすだけで受け流す。


 


(お、おかしい……! 速い! いや、読みが……!?)


 


「ならば……魔力を帯びた──渾身の一撃ッ!!」


 


バルの体に、ほんのり赤い炎のような魔力が立ち上がる。


地を蹴り、再び渾身の拳を放つ──!


 


──が。


 


「ごめんなさい。境内なので暴力はちょっと……」


 


すっと伸びた蓮の腕が、バルの腕を片手で捕らえ、力を込めずに一気に体をひねって組み伏せた。

 


「ほへ──っ!?」



 


バルの体は、優しく、しかし完全に、土の上に押さえつけられていた。


うつ伏せになり、動けない。


 


(ウソだろ……この俺が、組み伏せられた……!?)


 


「落ち着いてください。まず話をしましょう」


 


蓮が、真上から覗き込んでくる。


涼やかな目元。優しげな声。ほのかに香るお香のにおい。


 


(な、なんスかこの癒やし系イケメン……)


 


トゥンク


 


「……えっ」


 


自分の心臓が跳ねた音に、バルは凍りつく。


 


(な、なんでオレ、今……トゥンクしたッスか!?)

(こ、これは違うッス…は、早く逃れないと!)

 


「リリスさんの知り合い、ですか?」




──その声。




「トゥンクッス」



(思わず声に出しちゃったーッス!!)



そのとき──


「……リリス様の男……リリス様の男……」


 


物陰で何かをブツブツとつぶやいている気配が。


そこには柱の陰でもじもじしながら現実逃避をしているリリスの姿。



「違う、違う……あれは……幻、まぼろし……幻覚……いや、なんかそれっぽく見えただけ……我は、まだ……その……」




呆れたようなしらたまの声が鳴くのだった。

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