23 邪鬼の化け物vs四神とキリン
四神とキリンの間に気まずい空気が流れる中、私は1人慌てていた。
「キリンさん! ふざけていないで、あの邪鬼たちをなんとかしないと!」
私が山を指さしていると、黒い渦は邪鬼たちを吸収して、形を変え巨大な化け物になった。
「きょ、巨大すぎませんか?」
「ありゃ、ここら辺付近の邪鬼を全部吸収したんだな」
化け物を見ると、山と一緒ぐらいの大きさで、四つん這いになっていた。
「ぐおぉーっ!」
「ひーっ! なんて大きな声なの……」
「これはすぐにでも退治するしかないな」
キリンは涼しい顔で言った。そして、セイリュウたちに振り向く。
「お前たちにも協力してもらうぞ」
「なぜ貴様の指示に従わねばならんのだ」
「いいのかい? こんな話をしている間にも、あいつは山を下りて人やあやかしを喰ってまわるぜ」
「くっ……仕方ない」
「話が早くて助かるよ」
セイリュウとキリンが話しているのを、私はおろおろしながら見ていた。一応、話はまとまったらしい。
山を見ると、化け物がおりてこようとしていた。
「じゃぁ、お前ら行くぞ!」
キリンの呼びかけに四神たちは頷いた。
「神力解放!」
全員が叫ぶと、私は目の前の出来事に目を見開いた。
私の目の前に現れたのは、青い竜と、赤い鳥、白い虎、亀でしっぽが蛇の4体である。しかも、全部が巨大。
そして、中央には竜と牛が混ざったような生物がいた。多分あれがキリンなのだろう。こちらも巨大である。
「で、でかー……」
私は驚きのあまり、開いた口がふさがらなかった。
その巨大生物の上に、それぞれキリンたちが乗っていた。
「ぐおぉーっ!」
化け物は雄たけびを上げ、黒いモヤを大量に放ってくる。
「甘い!」
セイリュウの声に合わせて、竜が雷でそれを防いだ。
「今度はこちらから行くわよ!」
「僕も負けていられないね」
今度はスザクとゲンブが攻撃を始めた。
赤い鳥は炎を吐き出し、亀は巨大な水の矢を放った。
「があぁーっ!」
化け物は悲鳴を上げ、キリンたちを睨む。
「そんな目をしたってだめだぜ? これで決める!」
すると、キリンたちの周りに光が集まってくる。
「悪しき魂よ、我らの光によって浄化するがいい!」
キリンがそう言うと、光が1つにまとまり、まばゆい光となって化け物に向かっていった。
「はあぁっ!」
「ぎゃあぁーっ!」
キリンと四神の合わせ技で化け物は消し飛んだ。
化け物がいた所はざっくりと地面がえぐれていた。
「すごーい……本当にやっつけちゃった……」
私が驚いていると、さっきまで暗かった空は晴れ、倒れていた人たちも目を覚まし始めていた。
「あれ……一体どうしたんだ?」
「私、なんで倒れているのかしら……」
町の人々は首を傾げていたが、私は皆が無事でほっとする。
キリンと四神たちは役目を終えて、私の所に戻ってきた。もちろん、あの巨大生物たちは消えていきました。
「皆さん、すごいです! 本当にやっつけちゃうなんて!」
「嬢ちゃん、こんなの朝飯前だぜ?」
「もうお昼ですけどね」
私とキリンが笑いあっていると、上から何かがゆっくりと私たちの所に降りてきた。
「な、なんだろうあれ……」
私が見上げると、キリンと四神は戦闘態勢に入った。
「あれ、皆さんどうかしましたか?」
「あれから邪鬼と一緒の気配がする。気をつけろ」
降りてきたそれは黒いモヤの塊で、ゆっくりと私たちの前に落ちてきた。
それは徐々に姿を変え、小さな子どもの姿になる。
「え、子ども?」
私は驚いた。子どもはうずくまってぴくりとも動かない。
「ねぇ、君大丈夫?」
「ことね、近づいたら危ないぞ」
私が近づこうとすると、セイリュウに腕を掴まれた。
すると、子どもがぴくっと動く。
起き上がったその子は、見た目は4、5歳くらいだろうか。こちらに顔を向けると、その顔はくしゃっとなって泣き顔になる。
「うわあぁーん!」
「おいおい、いきなり泣き出したぜ?」
「でも、その子から邪鬼の気配がするわ」
「多分、その子が邪鬼の元凶だろうね」
ゲンブは水の矢を構えた。慌てた私は、セイリュウの手を振り払い、子どもを庇うように前に立った。




