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私と四神と時々退治屋  作者: しゅうらい
探索と退治屋編
18/25

18 前の契約者・佐吉

 私たちが元いた場所に戻ってくると、石段の所に誰かいた。

 その人は後ろ姿だったが、黒髪を上で1つに結んでいる男性とわかった。

「おぅ、連れて来たぜ佐吉さきち

 佐吉と呼ばれたその人は、こちらに振り返り頭を下げた。

「はじめまして、ことねさん。私は佐吉と申します」

「は、はじめまして! ってあれ? なんで私の名前……」

「知っていますよ。ずっと見ていたんですから」

 そう言って佐吉さんは微笑む。とても優しい雰囲気を持った人だなと私は思った。

「実は、私はあなたの前の契約者なのです」

「えっ! あなたが前の契約者さん?!」

「そんなに驚かなくても、セイリュウたちから聞いていませんか?」

「それが、聞こうとしても皆言おうとしないんです」

「あぁ……」

 佐吉さんはなんだかさびしそうだった。一体何があったんだろう。

「立ち話もなんですから、少し座りましょうか」

「は、はい」

 私たちは石段に座り、佐吉さんは話し出した。

「私は元々霊感があり、刀での戦い方もわかっていたので契約者に選ばれました」

「あー、だから皆最初の時に霊が見えるのかとか聞いてきたのか」

 あれはこの人と比べられたということだ。今になって私は理解する。

「そして、この世界に現れる邪鬼じゃきを退治するようになりました。セイリュウたちと協力しながら戦っていました」

 佐吉さんは話を続ける。

「しかし、ある時私の友人が邪鬼を生んだのです。それはいつもの邪鬼ではなく、異様な形をしていました」

「異様な形?」

「まぁ、あなたが村で見た邪鬼に近いかもしれませんね」

「あの邪鬼は人を食べて力を蓄えたみたいです」

「私が戦った邪鬼もそうでした。そして、戦っている最中、私は重傷を負い、それが元でその後死にました」

 佐吉さんは話し終わると、私を見る。ってあれ、死んだってことは、もしかして……

「佐吉さんて、幽霊なんですか?!」

「そうですよ。大丈夫です、あなたにとりついたりしていませんから」

 それを言われて私はほっとする。

「あなたはとてもわかりやすいですね」

「そ、そうでしょうか?」

「今回私が会いたかったのは、お願いがあったからなんです」

「お願いですか?」

 私の問いに、佐吉さんは強く頷く。

「あなたは邪鬼の元凶を探してそれを失くし、皆が安心して過ごせるようにしたいと言ってくれました。だから、私も出来る限りのことはしたいのです」

「と言いますと……」

「あなたに、私の刀を正式にお渡しします」

 佐吉さんにわき腹辺りを指さされて、私が確認すると刀を身に着けていた。

「あれ?! 私、刀なんて持ってなかったのに!」

「これは夢の中ですからね。なんだってできますよ」

 そうだった。ここは夢の中だった。私は苦笑いを浮かべる。

「全く、嬢ちゃんは見ていて飽きないな」

 キリンがキセルを持って笑う。

「か、からかわないで下さい!」

 私が焦っていると、佐吉さんはくすくすと笑った。

「面白い方ですね。あー、話がそれてしまいました」

 佐吉さんは笑うのをやめて、私をじっと見つめる。私も少し緊張してきた。

「その刀に私の力を注ぎます。これで邪鬼とも戦えるでしょう。すみませんが、刀を持って下さい」

 私は言われた通り刀を平行に持った。

 すると、佐吉さんは刀に手をかざした。少しして刀が光りだす。

「すごい! 刀が光ってるよ!」

「これでこの刀はあなたの物です。どうか、この世界を救って下さい」

「でも、私にそんなこと出来るんでしょうか……」

 私が俯いていると、キリンが近づいてきた。

「安心しな、嬢ちゃん。俺も力が戻ってきているから、そばまで行けば邪鬼の元凶の場所はわかるぜ」

「そうなんですか?」

「邪鬼もどんどん力を増して強力になっています。どうかお気をつけて」

「はい! 大丈夫です、四神の皆もいますから」

「俺も、もう少しすれば外に出られると思うからそれまで頑張れよ!」

「ありがとうございます!」

 私は笑顔で2人にお礼を言う。私の夢はそこで終わった。


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