69、可能性。
あれ? 今回は普通のチュートリアルの声だ。
おぉーい、声優の物まねしないの?
返事なし…… もしかして声優の物まねは、スペシャルボーナスの時だけかな?
「大翔さん、大翔さん、聞いてますか?」
「あっ、悪い悪い。実は運び屋のスキルに、新しい能力が加わったみたいで…… 」
「えっ、それって、どんなスキルですか?」
「私も知りたぁーい」
「私も私も、どんなどんな、早く教えて!」
「お兄ちゃん! リリにも、知りたい!」
「リリも皆も、ちょっと待ってよ」
俺は、ドキドキしながら皆の前でステータスボードを開いた。
Name 大翔
年齢 26歳
Lv10 最大成長 Lv10
HP 142
MP 8?
etc …………
スキル 運び屋(多世界間多角経営)
バスタアニア王国会社名 新しい街(仮)
日本国会社名 倉庫(仮)
店舗名 異世界雑貨店
社長 大翔
副社長 リリ
幹部 麗華、良一、春奈
王都ガルン異世界雑貨一号店
店長兼マネージャー ロンダ
従業員 シャロン、リンダ、ランダ、レンダ
王都ガルン異世界雑貨二号店
etc …………
ん? 『運び屋(多角経営)』が『運び屋(多世界間多角経営)』に変わっているが、多世界間多角経営って、無理やり感ありありでしょ。
ねぇ、やっぱり俺の事どっかで見てる?
…………
返事なしか…… まぁ、嬉しいから良いけど、トリアさんありがとうね。
名前教えてくれたら良いけど、教えてくれないから勝手にトリアさんと呼ぶことにした。
どれどれ、肝心の新しい能力は……
運び屋(多世界間多角経営)
運び屋(多角経営)のスキルを引き継ぐ。
運び屋(多店舗経営)のスキルを引き継ぐ。
運び屋(店舗経営)のスキルを引き継ぐ。
運び屋(個人経営)のスキルを引き継ぐ。
多世界間多角経営によるボーナススキル。
細かな設定が可能となった設置型アイテムボックス。
1.社長である大翔の意思で、設置型アイテムボックスの凡ゆることが設定できる。
2.社長である大翔が認めた人物なら、設置型アイテムボックスの凡ゆることが設定できる。
3. 設置型アイテムボックスが使用できる効果の範囲で、凡ゆることが設定できる。
4.社長である大翔が認めた従業員でなくても、使用する事ができる。
細かな設定が可能となった設置型テレポート。
1.社長である大翔の意思で、設置型テレポートの凡ゆることが設定できる。
2.社長である大翔が認めた人物でも、凡ゆることが設定できる。
3.社長である大翔が認めた従業員でなくても、使用する事ができる。
なんだこれ? 凡ゆることが設定できるようにって、相変わらずの説明不足だよな。
ただ、どちらも従業員でなくても使用できる様になったのは、今後の活動を考えればかなり助かる。
どれ、試してみるか。
さっき設置した設置型アイテムボックスで試……
えっ、お店じゃなくても設置できるの?
ちょっと待って、使用できる効果範囲で、凡ゆることが設定…… もしかして!
俺は試しに、ペンライトの先端に設置型アイテムボックスを設置した。
「おぉ、設置できた!」
「なになに? どうしたの?」
「私にも教えてよ!」
「リリも知りたい!」
「おいおい、女子ばっかり固まったら、見えないだろ」
「ペンライトの先端に、設置型アイテムボックスが設置できたから、ちょっと試してみるから、少しだけ静かにしてくれ」
「「「「うん、分かった」」」」
なぜか俺以上に、皆の方がワクワクしてるような気がする。
でも、気持ち分かるわ。
さてと、設置型アイテムボックスの有効範囲は十五メートルだから、有効範囲は最大で、収納幅は五十センチに設定して、いつものアイテムボックスみたいに地面に向けて使ってみるか。
「収納!」
「「「「おぉぉおおー!」」」」
収納することを意識した瞬間、地面に幅五十センチ、深さ十五メートルの穴が開いた。
勿論消えたわけではなく、ペンライトの先端に設置した設置型アイテムボックスに、幅五十センチ、長さ十五メートルの瓦礫が収納されている。
更に細かく設定しながら分離や結合も試してみたが、有効範囲内であれば問題なく使えることが分かった。
しかも説明によると、これは俺や、俺が認めた人が設定を行い、従業員以外に持たせても使用できるはずだ。
「これは、スコップの代わりに使えそうですね」
「「「「プッ! アハハハハ」」」」
クックックッ、確かに良一の言う通りスコップの代わりにな……
凄い使い方に、気付いてしまった!
「これって、鉄鉱石とかの採掘に使えないか? しかも、認識した物だけ採掘できる特殊なスコップとして使えないか?」
「えっ、使えるの?」
「大翔、これ、使えるだろ。しかも、従業員以外の人にも使えるから…… 」
「皆で沢山の穴掘れるね、お兄ちゃん」
「「「「プッ! アハハハハ」」」」
確かに、沢山の穴が掘れる。
最高のスコップの誕生だ!
取り敢えず設置型アイテムボックスの、設定の仕方が少し分かったけど、まだまだ設定次第で使い道が増えそうだ。
次は、設置型テレポートだが、アイテムボックスのお陰でなんとなく分かった気がする。
俺は二か所に設置型テレポートを並べて設置して、設定を試みる。
設定内容は、移動する場所は隣の設置型テレポートで、人数は二人。
「リリ、入ってみようか」
「うん」
二人同時に入ってみたら、普通に入れた。
「良一さんも一緒に三人で入ってみようか?」
「勿論、いいですよ」
三人一緒だと、今度は一人も入れなかった。
試しに一人ずつ入ってみると、俺、リリ、良一さんの順で入っていると、俺とリリは入れたが、良一さんは入れなかった。
しかも、俺はザードの屋敷をイメージして入ったのに、出て来たのは隣の設置型テレポートで、どうやら設定した場所にしか移動できないようだ。
「これって、従業員以外でも使えますよね」
「あぁ、そうだな」
「それじゃ、手を繋がなくても良いんですか?」
「あっ、そうだ! その通りだ」
「これって、かなり使えますね」
良一さんの言う通り、これはかなり使える。
それから俺達は、設置型アイテムボックスと設置型テレポートをいろいろ試して遊んだ。
新しいスキルは設定次第で利便性が高く、しかも従業員意外でも使用できることが大きな魅力だ。
「お兄ちゃん、そろそろ行かないと…… 」
「ん? あぁ、もうそんな時間か」
「うん…… 」
リリに言われ気が付けば既に二時間ほど経っていて、そろそろジェームズ達の所に戻らないと流石に文句を言われそうだ。
「悪いけど、そろそろ行くよ。新しい街の人達の為にも、今回の接待は絶対に成功させたいからな」
「テレポートとアイテムボックスのことは、こっちで調べておくから頑張ってね」
「でも、皇帝でしょ。接待ってレベルじゃない気がするけど、まぁ、問題起こして打ち首になりそうなら、テレポートで逃げて来てね」
「春奈さん、冗談でも怖いこと言わないでよ…… 」
「アハハハハ」
「でも大翔、冗談抜きに気を付けてな。それから、会社の為にも頑張ってくれ」
「あぁ。良一も、頼むな!」
「任せろ!」
ペンライトの先端に設置した設置型アイテムボックスと、試験的に設置した設置型テレポートはそのまま置いたといて、俺はザードのジェームズの屋敷にリリと一緒にテレポートした。
ジェームズの屋敷に到着すると既に軽い飲み会は始まっていて、陛下とジェームズ、そして宰相のローレルが執務室で飲んでいた。
執務室には騎士達の姿はなく、どうやら彼らは別室で待機しているようだ。
本来なら皇帝が帝国城以外でお酒を飲むなど有り得ないが、設置型テレポートがあるお陰で飲み会が可能となったらしい。
何かあっても逃げられるというのは、ある意味最高の安心感を与えるのかもしれない。
俺は、デパ地下で買ってきたお酒と、酒の肴をアイテムボックスから取り出しメイドに手渡すと、お酒はそのままテーブルに並べてくれたが、酒の肴は綺麗なお皿に入れ替えてテーブルに並べてくれた。
珍しいお酒に、珍しい酒の肴、三人は大喜びで直ぐに宴会が始まった。
そして陛下は、種ジャガを百万個から倍の二百万個に増やしてくれたうえに、他にも小麦の種や野菜等の種を大量に販売すると約束してくれた。
作物が育つのに三〜四ヶ月ほど掛かるが、無事育つことができれば新しい街の食料問題は、取り敢えず解決するはずだ。
俺は久しぶりに重い荷物を降ろして、楽しいお酒を飲むことができた。




