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23、新しい可能性。

 異世界での商売を安定させるためには、今迄みたいにホームセンターやスーパーで商品を手に入れて販売しているようでは、そのうち限界がくる。


 異世界に俺の店が増えれば増えるほど忙しくなり、仕入れに時間を掛ける事が困難になるからだ。


 将来的に店を増やすのであれば、新しいシステムを考え、導入する必要がある。


 俺は石油会社の社長に頼み、様々な会社の社長や役員を紹介してもらった。


 大量の現金を持っている俺は、彼らにとっても良き商売相手となるうえ、信頼を得るため支払いは全て三日以内に一括で振り込んだ。


 すると予想通り、取引先から何度も接待を受けるようになったが、リリが怖いので丁寧に断る。


 思春期のリリは俺が理由もなく夜出歩くと、次の日何も喋ってくれなくなる。


 まるで汚物でも見るように俺を見るあの目は、正直絶えられない。


 娘に嫌われたくないと思う父親の気持ちが、今なら良く分かるよ。


 まっ、俺は独身だけどね……


 それに忙しすぎて、接待どころじゃないけどね。


 工場から直接仕入れるようになり、大量の商品が格安で手に入るようになった。


 アイテムボックスに入れておけば劣化する事はないので、安心して大量に仕入れることができる。


 更に俺は、島〇製〇所の社長さんを紹介してもらい、手押しポンプを大量に発注した。


 これで孤児院の水汲みも楽になる。


 俺は様々な会社を巡り、思いつく限りの便利な商品を注文した。


 例えば、リヤカーや、建築現場などで使われる一輪車、発電機、投光器、カセットコンロ、キャンプ用のテント、工業用ミシン、珍しいものだとプレハブ小屋とか、大型重機なども購入する。


 購入したのは商品だけではなく、俺は隣接する小学校と中学校が同時に廃校となった土地を、建物ごと購入した。


 購入しただけで未だ手付かずだが、学校のグランドを使い太陽光パネルや大型の蓄電池、変電施設などを設置する予定だ。


 施工業者とは契約を交わしたので、近々工事が始まるだろう。


 完成したら全ての施設をアイテムボックスに収納する。


 これで異世界でも、大量の電気が使える。


 勿論、設置してもらうのは一回だけではない。俺はアイテムボックスに収納したら、再び何度でも同じ施設を設置してもらい、それらを全てアイテムボックスに収納する予定だ。


 これが俺の、正しいアイテムボックスの使い方だ。



 ★ ★ ★



 日本での活動の合間に異世界では魔物を狩って、今後の資金を調達することも忘れない。


 日本と異世界では金の相場が大きく違い、異世界の金貨の重さは約十グラムで、日本の金の買い取り価格で計算すると九万七千円となり、異世界の一割以下の価値しか無い。


 その逆も然りで、日本円の一万円札など異世界ではただの紙切れだ。


 商品は流用できるがお金は難しく、異世界のお金は異世界で稼ぎ日本のお金は日本で稼ぐしかない。


 そのため俺は、一秒たりとも無駄な時間がなくなっていく。


 地獄のように忙しかった一ヶ月が過ぎ、俺は孤児院が経営する予定のお店に、リリと一緒に来ている。


 お店は街の中心から少し離れているが、敷地いっぱいに建てられた建物は結構広く、まずまずの物件と言える。


 店内を確認しなくても、元がお店だったとひと目分かるほど入口が広かった。


「お待ちしておりました、大翔様」


 お店の扉を開けると、院長先生が迎えてくれた。


 孤児院のお店は院長先生が店長となるが、基本的に経営に携わるのはセリナ先生とローラ先生となり、忙しい時は孤児院の子供達も手伝うそうだ。


「良いと物件が見つかりましたね」

「えぇ、セリナとローラが頑張って探してくれました」


 お店のカウンターの中から、セリナ先生とローラ先生が嬉しそうに微笑んだ。


 院長先生の案内で店内を見て回ったが、一階はトイレと、小さい部屋が一つ。それ以外は全て店舗になっており、カウンターや商品棚など店に必要な物は既に設置されていた。


 商品さえ置けば、今日にでもオープンできそうな気がする。


 ロンダさんの時もそうだったが、異世界では日本みたいに全面改装は基本行わない。


 有るものを利用するという考え方が普通で、商品が良くて値段が安ければ問題ないようだ。


二階には簡単なキッチンと、倉庫にも使えそうな部屋が一つ、そして普通の広さの部屋が三部屋あった。


「一階の殆どが店舗とは、凄いですね」

「元々一階は店舗と倉庫でしたが、在庫はアイテムボックスに置いておけるので、広い倉庫は必要ないと判断しました」

「なるほど、それもそうですね」

「えぇ。それにしても、アイテムボックスって素晴らしいですよね。設置場所も取らず、商品を劣化させることもなく保存できるなんて、まるで神様の贈り物のような素晴らしい魔法です」

「本当に院長先生の仰る通りですわ。ロンダさんのお店で初めて見た時、感動しましたもの」

「うんうん。アイテムボックスは、世界の常識を変えてしまう力を持っていると、私、本気で思いま………… 」


 女三人いれば(かしま)しいとは良く言ったもんで、黙っていれば永遠に話し続けるのではないかと思うほど、アイテムボックスの話しで盛り上がっている。


 アイテムボックスを褒められることは俺だって嬉しいが、いい加減に仕事の話をしてほしい。


 まぁ、口が裂けても言いませんが、俺が苦笑してるのにも気づいてほしいなぁー。


「ですよね、お兄ちゃんのアイテムボックスは、凄いですよね」

「そうそう、リリちゃんのお兄ちゃんは、本当にすごいよね」

「でしょー、リリのお兄ちゃ………… 」


 おいおい、リリまで加わってどうするんだよ。


 曲がりなりにもリリは副社長なんだぞ、ここは仕事を優先させるところだろ。


 あぁー、仕事しませんかとリリに念話で伝えたいけど、あんなに楽しそうに話してる姿を見てしまったら、水を差すのもどうかと思うし。


 かと言って、女性四人の輪の中に俺が入れるわけない。


 頼むから、早く終わってくれ。



 ★ ★ ★



 一時間後、ようやく話が終わってくれた。


 長かった……


「ごめんなさいね、ちょっとだけ興奮してしまって」


 ちょっとじゃないだろ! なんて、絶対言わないし、逆に笑顔で「とんでもない、アイテムボックスを気に入ってくれて、俺も嬉しいです」なんて、大人の対応すら見せるけどね。


「えっと、それで何の話をしていたのかしら?」

「まだ、始まったばかりなので、これからですので安心してください」


 貴女達四人が盛り上がり過ぎていたから、心配しなくても何も話してねぇよ。


 俺は少し拗ねていた……


「そうだったのね、ごめんなさい」

「いえいえ、とんでもない。ー--それじゃ、先にアイテムボックスを設置する場所を決めて、商品を並べましょうか」

「分かりました、よろしくお願いします」


 院長先生の意見を聞きながらアイテムボックスを設置すると、突然頭の中にタタタターラーラータッタラーと、依然と同じようにどこかで聞いたファンファーレが流れ、『運び屋(店舗経営)』がレベルアップしましたと聞こえてきた。


 今度は俺が院長先生達に待ってもらい、慌てて別室に移動して一人になると、ステータスボードを確認する。


 Name 大翔ひろと

 年齢 26歳

 Lv10 最大成長 Lv10

 HP  131

 MP  8?

 etc  …………

 スキル 運び屋(多店舗経営)

 店舗名 異世界雑貨店

 社長  大翔

 副社長 リリ

 王都ガルン異世界雑貨店

 店長  ロンダ

 従業員 シャロン、リンダ、ランダ、レンダ

 ゴーテリア異世界雑貨店

 店長  ローラン

 従業員 セリーナ、ローラ


 やった!『運び屋(店舗経営)』が『運び屋(多店舗経営)』に変わっている。


 ボ、ボーナススキルはあるのか?


 自分でも驚くほど興奮していた俺は、慌てて『運び屋(多店舗経営)』を調べてみる。


 運び屋(多店舗経営)

 運び屋(店舗経営)のスキルを引き継ぐ

 運び屋(個人経営)のスキルを引き継ぐ。

 多店舗経営によるボーナススキル。

 時を遡るアイテムボックス。

 1.社長である大翔の意思で、アイテムボックスに収納した物の時を遡る事ができる。

 2.社長である大翔が設置した、設置型アイテムボックスでも、アイテムボックスに収納した物の時を遡る事ができる。

 3.社長である大翔が認めた人物なら、アイテムボックスに収納した物の時を遡ることができる。


 緊急避難テレポート

 1.突然、生命に関わる緊急事態が発生した時、社長である大翔と従業員だけが使えるスキル。

 2.突然、生命に関わる緊急事態が発生した時、店全体を危険とスキル判断したら店にいる全員に発動するスキル。

 3.突然、生命に関わる緊急事態が発生した時、本人の意思に関係なく発動するスキル。

 4.突然、生命に関わる緊急事態が発生した時、社長である大翔が指定した場所に緊急テレポートを実行する。

 5.突然、生命に関わる緊急事態が発生した時、社長である大翔が指定した場所が、危険だとスキルが判断した場合に限り、任意の場所に緊急テレポートを実行する。

 6.緊急避難テレポートは、一日一回とする。


 なんだ、このスキル。


 緊急避難テレポートの、スキルが判断するってなに? 


 スキルに意思でもあるのか?


 それに、時を遡るってなんなの?


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