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100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる  作者: 桜居かのん
第五章 所詮逆ハーと見せかけて答えは出ているものである
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「私達は領民に生かされている。

だからこそ私達は彼らに土地を貸し、彼らは私達にその費用を支払う。

そのお金が無ければ我々は他に回すことも出来ません。

アイオライト家ならばよくおわかりでしょう、我らの立場だからこそ為さねばならぬ事は」


彼女の目は冷たく、そして揺るぎない。


私も彼女の意見が全面的に間違っているとは思わない。

だがそれにより追い詰められた領民がどうなるのか。


私は何度も転生で味わっている。

貧しい人達が子供達に何をするかを。

お金を作る為の方法など、限られているのだから。


「ご歓談中の所失礼致します。

ティアナ様、少し外の空気を味わってはいかがですか?顔色があまりよろしくないようですので」


顔を上げると斜め後ろに控えていたハーディスが私にいかにも心配そうな顔で声をかけてきた。


「そうですわね。

せっかくですしお庭を案内致しますわ」


エリス嬢の勧めもあって私達はそろって庭に出ることにした。



降りたのはシンプルな庭園。

噴水などは無いのだが、草花がそれなりに手入れされているのはわかる。

だが手入れする量を減らしたいのか、花壇などは土だけで何も無い場所もあった。

エリス嬢に案内されながらゆっくりと歩く。

後ろにはエリス嬢の執事とハーディスが距離を取ってついてきていた。


「うちは庭師も一人しか雇えないので」


私の心を見透かすようにエリス嬢が言うので、穏やかで落ち着きますと答えると彼女はにこりと笑った。


「率直にお話ししますと我が家は位だけでお金が無いのです。

ですのでうちが差し上げられるのは立場くらいのみ。

それを考えあのお二人にお声がけを致しました」


笑顔のままで彼女は唐突に宣言した。

この話をしたいが為の誘いだったのだろう。

我が家を実際見てもらえればわかるでしょう、貴女の家とは違うのよ、というのを先ほどから裏で言われ続けているのはわかっていた。


「もうおわかりだとおもいますが、あのお二人のどちらか、私に譲って頂けませんか?」


目を細めてそんなことを言った彼女に苛立ちを感じてしまう。



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