表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/87

16


「さっきの男がしたことはどこまでのこと?

ハーディスはこれから村に行かなければいけないのだけど」


ちらりとハーディスを見るとにこりと笑みを浮かべる。

既に何もかもわかっているようだった。


「王子の代わりに言いますと、まずここに押し入った賊はそもそもそういう事実が無かったことになっています。

それは賊が消えたのか、首謀者が考えを変えたのかはわかりません。


次に村の記憶に関しては、土砂崩れはあったが人命はなんとか間逃れた、だが災害は報告され城より人が来る、くらいの認識です。

貴女と彼があの村に行った事実も消えていません。

ただラッキーなことに誰も被害に遭わなかったと言うだけで」


「カール様の記憶は」


「その場で村人を誘導したりしたことになってるでしょうね。

彼の中で貴女がどうなっているのかはさすがにこっちでもわからないので気をつけて下さい」


「結構大雑把にしか改ざんできないのね」


「これでも細かい方ですよ。

そこの王子がやれば一律で改ざんしますが、各自の記憶の齟齬が生じてもみな疑問を抱かないのが便利なだけで」


そこで男は饒舌に語っていた口を真一文字にして表情が止まる。

男が見据える先には隣に居るハーディスが薄らと笑みを浮かべていた。


「いやぁ、王子の能力はほんと凄いっすよね!あはははは」


「いえいえ、私などよりお前の本当の主が凄いというのはわかりますよ」


そんな突き放すような事言わなくても、と男は泣き真似をしている。

ハーディスはため息をついてから私の方を向いた。


「私が村へ行く間、正直ティアナ様と離れるのは辛かったのです。

ですので行かなくなった分、目一杯愛を注がせて頂きますね」


「胸焼けしそうだからいらない」


ぷい、と顔を背けても、きっとハーディスは優しい笑みを浮かべている。


「帰りましょう、屋敷へ」


手が差し出され、私は当然のようにその手を取った。


恐らくもう答えは出ているのかも知れない。

だけれど101回目の転生は、私にとって今までとは違いすぎることに不安を感じていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ