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「正解ですー。

ここは時間が止まっているっつーか、次元が違うんっすよね」


また心の中を読まれうろたえそうになるが、私は腕を組んだまま面倒そうにしているハーディスを見て、あれ、ハーディスは?


「ハーディス!ハーディスはどこ?!」


今更ながら慌てる私に、胸のはだけた男は豪快な笑い声を上げた。


「何だ、わかっているのかと思ったが。

この器は今眠っている。

器は我のようで我では無い。

器は器の感情を持っているというのは面倒だがこうするしか方法が無かった。

この器の願う、お前を長生きさせてこの世界を楽しませたいというのはあまり理解できない」


ハーディスが器?

次々と情報が開示されるが私は脳内の処理が追いつかない。


「ほーら、お嬢ちゃんが困惑してますよ。

それに自分が全て悪いみたいな言い方、わざわざしなくても」


「事実だろう」


「本来50回の生贄で消える娘を自分の手元に置くためだけに、色々と我が侭を通した人が良く言いますよねー。

あ、やっぱり元凶かぁ。

全部知られたら嫌われますよ?」


フォローしようと思ったんですけどね、失敗失敗とからから笑う男に、ハーディスの代わりになった男が呆れた視線を投げた。


「どうだ?

もう我のところに来るか?

面倒だろう、この世界は」


「面倒って」


私は信じられないという声で言葉を繰り返す。


「現に面倒だろう?

お前は何度も似たような世界で苦しい思いをし、またここでも結局は心を痛めているでは無いか。

お前の望みがあるからこの世界を与えたのに、他のことばかり気にしている。

楽しんでいないのならいらないだろう。

元々次は我のものになるのだ。

何を待つ必要がある」


堂々と、何の疑問も湧かずに男は言っている。

呆然とそれを聞いていて、隣では若い男が顔に手を当ててあーあ、と言ってため息をついた。


確かに私は101回目の転生で色々な事を望んだ。

現に素敵な殿方達に熱いアプローチをうけ、その度にドキドキしている。

なのに頭に浮かぶのは、胡散臭い笑みを浮かべる私の執事。


胡散臭い笑みにいつもお決まりのような愛の言葉。

だが何だかんだ言ったってもずっと側で守ってくれていた男の顔が浮かぶ。

今、私が心から会いたいのはハーディスだけだ。



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