表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/87

7


聞きたい。でも怖い。

私の手は未だハーディスの手に包まれている。

それがとても心強い。


「まだその頃、この国でもそれなりに戦いは起きていました。

国王は即位してまもなく、反発する者達もそれなりにおり、そんな者達に手引きされた敵国の者達が城に侵入したのです。


その者達は城の兵と戦いになり、お二人の遊んでいた庭にも侵入してきました。

その時ティアナ様は王子を庇われ、そんなお二人を守る為に護衛の者達は敵と戦った。

戦いが終わると城内には負傷兵達が多く倒れているのを見たティアナ様は初めて魔法を使われたのです。

私もあの温かな青に染まった世界を未だに覚えています」


伯爵は静かに、物語を語るように話す。

私の手は小さく震えていて、その手をぎゅっと大きな手が握る。

その手の主の方に未だ私は顔を向けられない。


「多くの負傷兵が敵味方関係無くその魔法により救われました。

ですが、お二人を護衛していた一人の兵士は既に亡くなっていて貴女の魔法は効かなかった。

ショックを受けた貴女を救うため、王子は記憶を消す魔法を使いました。

やはり貴女のように広範囲に。

魔法は広範囲、そして対象人数が多いほど能力が高い。

お二人の魔法の強さは脅威になる、国王自ら判断されました。


敵兵には記憶を消すだけでなく王子は記憶を改ざんし、我が国の兵士であったことにしたのです。

そうしなければ彼らが無傷で訳もなく国に戻れば何があったか詮索されますし、彼らも消されるでしょう。

けしかけた者達も、襲ってきた国も、強襲させた兵はどうなりましたかなどこちらに問い合わせることもありませんし」


話を聞いていても何一つ思い出せない。

だが国王や伯爵は記憶を消されたり改ざんされなかったのだろうか。


そしてあまりにショックな話に現実感も無い。

もしかして私が庇ったというだけで、ハーディスは責任を感じてしまったのかわからない。


「ハーディスは私が庇ったというだけで、ハーディスは責任を感じて王子の地位を捨てて執事になったの?」


自分でも声に覇気が無いのがわかる。

意を決して隣を向けば、ハーディスは優しく私に微笑んで手を握り返した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ