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「ティアナ・アイオライト」


「はい」


低く重い国王に呼びかけられ、私は背筋を伸ばし返事をする。


「お前の魔法は昔私も見ている。

その力故に外に漏らしてはならず、軽々に使ってはならぬ」


「この度のこと、誠に申し訳ございません」


国王に昔見られていたのは知らなかったが、私の本来の魔法を使ってはいけないとは常々言われていた。

それを使ってしまったことで、私の知らない場所で騒ぎになって迷惑をかけているのは理解した。


だが自分の記憶がおかしな事に気付いた。


『私の本来の魔法を使ってはいけない。

それを知っているのは知識だと思っていた。

だけど知識で自分の魔法を知ってるなんて言うのはおかしい。

実際に使ったからこそ危険視されたんだ。

なのに何故、私にはその記憶が無いの?!』


今更だ。

家族からも使っては駄目だと言われるだけで何があったかなんて聞いたことは無い。

使ったからこそ禁止されているのに、そんな単純なことを気付いていなかっただなんて。


「ティアナ様」


呼びかけられ、知らずに俯いていた顔を弾かれたように上げる。

横に座るハーディスが心配そうに私を見ていた。

慌てて前を向けば国王は険しい顔のまま私を見ていて顔が強ばる。


私の膝の上に置かれた手に、大きな手が被さった。

それはハーディスの手。

温かな体温が伝わってきて、私は知らずに力の入っていた肩の力が抜けた。


「ハーディスはお前を選んだ」


不意に投げかけられた国王からの言葉。

その言葉の意味をどう取れば良いのかわからない。


王子という立場を捨てて執事となった事?

それとも私に求婚していること?


「そんな事の前に、ハーディスはお前のためだけに魔法を使うという縛りをかけた。

それは魔法を使う、それも王族の血を濃く継ぐハーディスがするのは重さが違う」


「おやめ下さい」


ハーディスが珍しく鋭い声を出した。


国王は何て言ったの?

縛り?魔法?

そもそもハーディスが魔法を使った所なんて見たことは無い。

ハーディスが王子ということはそれなりの魔法を使えて当然なのに。


いや、先ほど伯爵は言った。

記憶を消す魔法を使うのはハーディスだと。


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