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「記憶を消す?!」


冷静に聞いていたがその結論に思わず声に出し、口を手で押さえる。

国王の話した言葉になんて事を。


「申し訳ございません!」


私が焦って謝ると、ギロ、と国王の鋭い目が自分に刺さって身体を強ばらせる。


「ここは私が説明致しましょう」


柔らかい声で入ってきたのは侯爵だった。

私はオロオロしそうな気持ちを我慢して侯爵の方を向く。


「現在あの村は城の優秀な魔法使いにより結界が張られており、村の者は外に出られず外の者は村には入れません。

それはティアナ様、貴女の魔法を見た村人達がその情報を外に漏らさないため必要な方法です。

もちろん、村の修復や治療をするための者達は村に派遣済みです。


そしてすぐに彼らから記憶を消さなければなりません、貴女があの大規模な魔法を使ったことを」


伯爵の表情は微笑んでいるようで何も優しくは無かった。

緊急事態、それも記憶を消すほどのことを私が引き起こした。

だが事の重大さとともに、記憶を消せる魔法がある事を初めて知った。


ハーディスをちらりとみると、何故か笑顔のまま。

まだ何も言う気は無いのだろうか。


侯爵は私の表情を見て理解したのか、


「記憶を消す魔法を使うのはそちらにいらっしゃる王子です。

そう、あの時と同じように」


「ブロンザイト伯爵、過去の話は思い出の場所でゆっくりお話ししようと思っているのです。

どうかここでは内密にしていただけますか?」


「それは失礼致しました」


ハーディスが口を挟み、この部屋の緊張したような雰囲気が一変して溶けたようだ。



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