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100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる  作者: 桜居かのん
第三章 なんということでしょう、生贄のプロはその経験を生かさずにはいられなかったのです
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それを見ていた村人は困惑していたようだが、一人二人としゃがんでいくのを見て、ヒステリックに老人が大声で罵倒し始めた。

まだ周囲を見て戸惑う人々に私は畳みかける。


「カール様の魔法も無限ではありません!

まだあそこにいる人々を助けるためにも力を貸して下さい!」


この言葉は強かった。

みな、向こうの緑の魔法を見てから意を決したような顔でしゃがんでいく。

ただ一人、立ったまま私を罵倒する老人だけを除いて。


私は手を掲げ、一気に魔法を展開した。

広く、広く。

カール様のいる場所まで届くようにと青のベールを広げるイメージを強く持つ。


強い魔法使いを関知しカール様のところまでたどり着いたことがわかる。

そこから傷ついている人々を治癒していく。

私には死んでしまった人は関知出来ないし蘇らせる力は無い。

出来るなら誰も死んでいないことをただ一身に願っていた。




「ティアナ様!!」


板の上に寝かされていた私はその声に目を開けて顔を上げる。

そこには初めて見る余裕の無い顔のカール様がいた。


「良かったです、ご無事で」


私が安心した顔でそう言うと彼は私の前にしゃがみ、上半身を起こした私の身体を気遣いながらそっと私の両手を取った。


「なんという無茶をなされる。

倒れられたと聞いて俺は」


「もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」


カール様は私の手を額に持ってきて、


「貴女の魔法が届いたおかげで限界に来ていた俺の魔法は維持出来たのです。

そうでなければあの場に居て動けない者達が逃げる事も救出する時間も作れなかった」


「一番はすぐに防御し守ったカール様のおかげです。

それで村人に犠牲者は」


私の緊張した声に彼は優しい声で、


「死んだ者はいません。先ほど確認を終えました。

死にそうになっていた者達は歩けるほど回復し、どうやら怪我の程度によって治癒された具合は比例しているようです。

ですが死者も無く、今後仕事を辞めざるを得ない大怪我をした者もいません。

貴女のおかげです」


私はずっと手を握るカール様の手を外し、今度はカール様の手を包む。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 関知 でもいいかもしれませんが 感知 とした方が意味合いが伝わりやすいように思います。…好みもあるかとは思いましたが、同音異義なので念のため(^^;
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