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100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる  作者: 桜居かのん
第三章 なんということでしょう、生贄のプロはその経験を生かさずにはいられなかったのです
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しばらく走って見えたのは緑の防御魔法。

こちらからカール様は見えないが、かなりの範囲に張られた防御魔法の上に山からの土砂が美しい緑の結界の上を黒に染めていた。


周囲を見れば伐採した木々を運んでいて巻き込まれたせいなのか、木が刺さったりと血まみれの人々がそのまま土の上に横たわり苦しんでいる。


カール様の結界から次々人が逃げたり運び出されているが、おそらくまだ土に埋まった者がいるのは騒然とする現状で理解した。


「なんでこんなことに」


「雨がずっと続いたから」


「・・・・・・森の神がお怒りになったのだ。

お前達がこのようなことをするせいだ!」


悲痛な声が続く中、年老いた男の声が苛立った声で叫んだ。

一瞬で周囲が静まりその声の主を見る。

そこに立っていたのは小柄で妙な首飾りをした老人だった。


「何度も私が言ったはずだ!

昔のように生贄を差し出さねばいずれ山の神の怒りに触れると!

耳を貸さなかったお前達に神はお示しになったのだ、自分の力を!」


私は離れたところで呆然とそれを見ていた。

転生の記憶が蘇っていく。

いくつも似たような光景を私は見たことがある。


「お嬢様!」


私の側に駆け寄ってきたのはシドさんだった。


「カール様は魔法を使われているのですね?」


「はい。最初の土砂崩れで巻き込まれた者達を助けようとしていたときに再度土砂が崩れてきたのでカール様が防いでいます」


「状況はわかりました。

ところであの老人は?」


「あの者はこの村の隅に一人で住んでおります。

生贄を差し出せなどと意味のわからないことを言うので村人達も寄りつかなかったのですがまさかここに来ているとは」


シドさんが困惑して私に教えている間も、老人は熱が入ったように持論を繰り広げている。

けが人を助けている者は最初は聞いていなかったのに、段々顔を老人に向けだした。


「本当にそうなのか」


「確かに今までこんなことは無かった」


「生贄を出さなかったから家族は死ぬのか」


不味い。

段々と不穏な言葉と不穏な空気が広がっている。



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