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100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる  作者: 桜居かのん
第三章 なんということでしょう、生贄のプロはその経験を生かさずにはいられなかったのです
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食事をしながらたわいも無い話をする。

カール様は元々口数が多い人ではないが、シドさんが自分の屋敷に居た頃やんちゃをした話や、こういう離れた村も仕事の一環で見て回ることを大切に思っていることを話してくれた。


彼を仕事人間だと思う人もいるが、こうやって自分が家族のように思う人達の村まで見て回ったり、カール様がどれだけ優しい人なのかがわかる。


そんな時だった。


突然地響きが店を襲い、店にある物が次々と倒れだした。


「きゃぁ!」


思わず声を上げると同時に大きな身体が私に覆い被さる。


「みな!テーブルの下に!」


カール様の大きな声に、悲鳴を上げる店の人達も近くのテーブルの下に隠れた。


ミシミシと木で造られた店のきしむ音、食器が割れる音、それが外からの轟音に消されそうだ。

そんな轟音と揺れはどれくらい続いただろう。

ようやく音が静まり、揺れも収まった。


一体何が起きたのか。

今のは地震だったのだろうか。

そもそもこの国に地震はさほど多くなかったのにかなりの揺れだった。

近くの椅子も食器も何もかも床に倒れて酷い有様だ。

揺れの凄さを今更実感し恐怖心が襲ってきた。


「大丈夫ですか」


私を胸に抱きしめていたカール様が落ち着いた声で聞いてきて、はい、と私はしっかりとした声で答える。

こういう時に落ち着いた表情と声は私にも気持ちを落ち着かせてくれた。


「シド、これは地震か?何か違うような気がするのだが」


「わかりません。外を見てきます」


「俺も行こう。

ティアナ嬢はテーブルの下に居て下さい」


「わかりました。お気をつけて」


二人は倒れた家具や食器の破片を避けながら外に出て行った。



そのドアを見ながらカール様の言葉が引っかかる。

地震に違和感を感じていたようだがそれ以外に何があるというのだろう。

ただこれだけ揺れたのだ、家の下敷きになった人だっているかも知れない。


「お嬢様?!」


テーブルから出てドアに走り出した私に後ろから女性が慌てた声を出す。


「私も様子を見てきます。皆さんはそのまま隠れていて下さい」


にこりと笑いかけ、再度呼び止められる声を振り払い外に出る。


だが周囲の家は倒れること無く立っていた。

良かった、と気を抜きそうになったとき大きな声がいくつも飛び込んでくる。


「裏山が崩れた!」


「山に入っていた奴らがわからない!」


「怪我をしてる者もいる!誰か傷薬を!」


山の方を見て気がついた。

大きな魔法が今使われていることに。


『カール様!』


私はその場所へと走り出した。



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