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100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる  作者: 桜居かのん
第三章 なんということでしょう、生贄のプロはその経験を生かさずにはいられなかったのです
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「わかりました。しばし俺が護衛をさせていただきます」


「いえ、カール様にご迷惑をかけるわけには。

今から戻りますので」


「先ほどの言葉はお許し下さい。

部下のいる手前、久しぶりにお会いできて嬉しいなどと言うわけにもいかず」


歯切れ悪そうに弁解したカール様を見て思わず吹き出す。

カール様もかなり居心地が悪いのか剣の柄を触っている。


「でしたらお言葉に甘えて」


カール様もホッとしたような顔に、微笑ましい気持ちを出さないよう我慢した。



「なかなかご連絡できず申し訳ありません。

体調はいかがですか?」


「この頃は落ち着いてきました。

ディオンによく眠れるようにとポプリももらったのでそれもあるかもしれません」


話してから、しまったと気付く。

一応二人は交際相手になるかどうか争っているわけで、私がこの事を言うのは軽率すぎたと思ったときには遅かった。


「失礼しました、軽率な言葉を」


「いえ、それで体調が落ち着かれたのなら良い事です。

ただ貴女の隣にいられる座を巡るものとしては何とも複雑な心境にはなりますが」


「申し訳ありません」


庭園の中で立ち止まり、私は頭を下げる。

大きな手が私の肩に触れる。


「頭を上げて下さい。

仕事とはいえ貴女を優先出来なかった俺が悪いのですから」


「カール様はこの国を守ることに尽力を尽くしておられるだけ。

当然のことだと思います」


笑顔でそう返すと、カール様の表情は少しだけ難しそうな顔になった。


カール様に勧められ庭園の中にあるベンチに手を取って貰いながら腰を下ろす。

カール様は私が座ったのを確認し、わざわざ少し間を開けて座られた。

何だか大きな身体には窮屈そうに見える。


「これは身内というか仲間内の話なのですが、どうしてもこういう仕事は泊まりや夜勤も多く、それが原因で恋人や妻と不仲になるというのは割とありまして。

女性は日頃会える男に、ここに勤める者は城で働く女とというのは、何と言いましょうか」


言いにくそうな彼に私はわかります、と返すと彼は勢いよくこちらを向いた。


「やはりそういうものですか」


「その、理解は出来る、というだけです。

政略結婚も多いですし、心を満たす相手と一緒に居たいと思うのは自然なことなのではと」


私の言葉に、そうですよね、と彼は肩を落とす。



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