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100回生贄として殺されたので101回目の転生では幸福な人生を願って令嬢になったけれど何故か元凶が偏愛してくる  作者: 桜居かのん
第二章 うちの執事がひたすらに胡散臭い件について
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この一帯は城下町として栄え、石畳と茶色の建物には各々窓に花を飾る。

建物の間に皆露天などを出し、地面に敷物を敷いて品物を並べて売る者、屋根をつけて色とりどりの野菜を売る者。

周辺国の商人も来ているので、売る方も買う方も多国籍で顔も髪の色も違う。


この国ではそういう事に差別が少ない。

無いと言えば嘘だが、自分が転生した世界ではそういう差別は多かったことを思い出す。

そうやって生贄として殺されたことが何度もあったことを思い出した。


「口に合わなかった?」


心配そうにディオンが私を覗き込む。

二人の手にはふわふわした甘い小さなお菓子の入った袋を持っていた。


「ううん。美味しいわこのお菓子。

後で屋敷の者達にも色々お土産を買っていかなきゃ」


貴族がここで色々買い物をしお金を落とすことは大切な仕事の一つ。

そうやってお金を循環させる事の必要性を、今までの経験からも学んでいた。


「ハーディスからティアナの元気が無いと連絡があったけれど、何か悩みがあるの?

もしかしてアイオライト公爵が一年で相手を決めろと言ったことを気にしてるとか?」


私を心配して外に誘ってくれたというのに、誤解させてしまって申し訳ない。


「違うの。

二人を縛っていることには申し訳ないと思っているのは確か。

でも一番はこの頃夢見が悪いのが原因だと思う」


「夢見が?

じゃあずっとあまり眠れていないとか」


「寝てはいるのよ。

ただ夢見が悪いから起きると何だか気分が優れなくて」


ディオンが無言になると私の手を引っ張る。

引っ張った先には木々が並び、その下に並ぶ石にはちょうど腰掛けるには良い高さで所々人が座って休憩をしていた。


ディオンは自分の胸元からハンカチを取り出しそれを広げる。


「少し休もう」


そう言ってそのハンカチの上に私を座るよう促した。


「どんな夢を見るのか聞いても良いかな」


ディオンの声は優しい。

追求するわけでもいかにも心配ですという圧力もかけてこない。

ただ寄り添ってくれている。

そういう優しさを作り出せる彼を私は尊敬していた。



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