3
*********
その翌日、私がハーディスに質問をしてもあれ以上のことを一切答えなくなった。
笑って他の話題にすり替える。
ハーディスにお仕置きは効かない。
無視しようが怒ろうが、ハーディスからすると全てが私からの愛で全て受け止めたい、味わいたい、涙なんか流して頂けるとそれを舐め取りたいとか言い出したので恐怖から質問を止めた。
恐らくそれも計算のうちだろう。
ハーディスがそういう風に言ったり迫ってくれば私は嫌がってやめてしまうので向こうの勝ちだ。
仕方が無いと父に聞いてみれば言葉を濁された。
王子だと言うことには一切答えず、ただ三番目の交際申し込みをしてきた相手だとは認めたが。
父からは私にも立場があって何もかもお前に話せるわけでは無いのだ、と申し訳なさそうに言われ、私はそれ以上聞くのを諦めた。
おそらく本当にハーディスが王子だというのなら、色々と秘密にしなければならないことも多いのだろう。
だからこそ父が何も答えないことで私は確証を持った。
ハーディスがこの国の王子なのだと。
「少し、痩せられたのではないですか?」
朝、私の着替えを整えながらハーディスが後ろから声をかけてきた。
「そうかしら」
「はい。
私が毎日隅々までティアナの身体を触っているので間違いありません」
「まさか、寝ているときに何かしてないでしょうね」
汚らわしい物を見るような目でハーディスを見れば、
「とんでもありません。
寝相の悪いお嬢様の隣に滑り込んで夜通し寝顔を見ながら過ごそうかとは思いましたが、日頃お着替えを手伝うときに触るだけでもそれなりに把握できます。
私の愛の力を舐めないで頂きたいですね」
「何で怒ることなのよ、そこが」
どうせ舐めて頂くなら上半身か下半身どちらにすべきか悩みたいので一日下さいと憤りながら言うので一瞥する。
「やはり転生されたときの記憶が影響しているのでしょうね」
椅子に座らされいつものように私の髪をブラシで解くハーディスが急に真面目な顔つきになり言う。
「それもそうだろうし貴方の爆弾発言も影響してるわ」
「ティアナ様の心に私がいつもいる、最高ですね・・・・・・」
恍惚としたハーディスの顔が鏡に映って、私は何て無駄な会話をしているのだとため息をつく。
誕生日から一週間以上経ったが未だに混乱している部分がある。
最初よりはマシになったが、目を覚ます度に本当に101回目の転生なんだ、ここでは殺されないのだとホッとしていた。
だけれど、あの白い世界の不審者が言った言葉をまだ信用できない。
どうしても100回の経験が今の世界を素直に受け入れられない事など色々と考え込んで食欲が落ちていた。




