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「喜ばしいですねティアナ様。今までの苦労が報われるようで」
こっそり後ろから私に声をかけたハーディスをぎろりと睨む。
私の今までを知っていてわざとそんな言い方をするとは。
「さすがにもう遅い。
お二人には申し訳ないが今宵はこれまでにしよう。
また後日ゆっくりと」
父親がそう言うと、ディオンとカールは席を立ち立ち上がった私の前に来た。
まずはディオンが私の目の前に立つ。
「近いうちに出かけよう。街に出かけたいと言っていたでしょ?
そして改めて誕生日おめでとう。
気に入ってくれると良いけど」
ディオンがくれたプレゼントを開けると、それは青い宝石の入った可愛らしいイヤリングだった。
可愛らしいのは似合わないという私に、いつもディオンはそんなこと無いよと言ってくれる。
実は可愛いものが好きなことを彼は知っているからこういうプレゼントにしたのだろう。
「ありがとうディオン。とても可愛いわ。
これをつけて一緒に出かけるのを楽しみにしてる」
ディオンは嬉しそうに笑みを浮かべ、いつものように私を軽く抱きしめた。
不思議とディオンに抱きしめられるととても安心できる。
「遠乗りしていた時に素晴らしい風景の場所を見つけたのです。
今度そこへお連れしたいと思います。
そして俺からはこれを。
こういうのを選び慣れてないので申し訳ない。
誕生日おめでとう、ティアナ嬢」
不安そうにカールから渡された箱を開けると、やはり青い宝石が埋め込まれたシンプルな髪飾り。
シンプルだが細工が素晴らしく、とても高価な物だとわかる。
これを彼が悩んで選んでくれたのかと思うととても嬉しい。
「上品で素敵な髪飾りをありがとうございます。
遠乗り楽しみです。カール様の愛馬にも会いたいですし」
カールは目を泳がせながら、あいつも喜びますと言い、そして彼は表情を引き締めると私の手を取ってキスをした。
一見無愛想にも見える彼の、こういうスキンシップは未だに恥ずかしさが襲ってくる。
二人を見送ってようやく私は部屋に戻って来られた。
思わず大きな息を吐くと、私のドレスを脱がしているハーディスが軽く笑う。
「素敵な誕生日パーティーでしたね」
「えぇ」
私にとって100回転生をし、初めて101回目で迎えた16歳の誕生日。
それはあっという間で楽しくて、そして素敵な男性達に熱いアプローチをもらって。
朝今まで生贄として過ごしていた記憶を思い出したせいか、今経験していることは夢なのではと思ってしまう。
「二人も素晴らしい交際希望のお相手ですし、これから一年忙しくなりますね」
「本当に夢みたいな話よ。
今度は恋も、そしていずれ家庭を持つことも出来るんだから」
感慨深くなっているうちに、既に服はほとんど脱がされている。
何というか令嬢のドレス脱がし大会なんてあったら優勝しそうなほど見事な手早さだ。