16
「私、ディオンとカールのように正々堂々と申し込んできた殿方との方が交際しがいがあります」
「ティアナ、別に僕たちは決闘を申し込みに来たんじゃ無いからね」
私の妙に気合いが入った言葉に、ディオンが苦笑いする。
「俺はティアナ嬢がそのように言うのでしたら異論はありません。
正々堂々俺を知ってもらう機会をもらえればそれで」
「僕もそれで良いよ。長年の二人で培った時間もあるしね」
「時間だけが重要とは思いません。俺のティアナ嬢への想いは真剣なので」
「真剣だというなら僕も負けないさ」
何だか二人で不穏な空気を醸し出してきたので私が再度、
「とりあえずありがたい申し出をしてきて下さった二人とまずはお話をするなどしてですね」
「ティアナ、お前が選ぶまでの猶予は17歳になる前日までだ」
突然の父親の通告に私は、え、と声が漏れる。
「当然だろう、ここまで有能な二人を待たせてしまった。
本来これ以上待たせることも申し訳ないほどだ。
ティアナもわかっているだろう、この二人がどれだけ多くの令嬢達にアプローチされているか。
だから一年で決めなさい。
既に二人にはそう話して了承を貰っている、もう一人を含めて。
もちろんその間に彼らが他の令嬢を選ぶことだってある。
いいね?」
父の厳しい表情に自分の身勝手な状況を知る。
ずっと二人を私の我が侭で待たせてしまった。
恐らく記憶の無かった頃の自分が、どうせ今回も16歳まで生きられないと本能でわかっていたのかもしれない。
「申し訳ありません。私の我が侭に付き合わせてしまって。
どうか一年と言わず、心に決めた女性が出来ましたらどうぞその方を大切にして下さい」
申し訳ない気持ちになって頭を下げると、ディオンが待って、と声をかけてきた。
「何か勘違いしているようだけど、僕は自分の意思でそうしているんだよ?
子供の頃からずっと思ってきたんだ、一年いやもっとかかっても問題ない。
そんなことをティアナが気にしなくて良いんだ。
ティアナはゆっくり僕を選んでくれれば良いから」
「俺も別に時間を区切る必要は無いと思っています。
貴女が貴女らしく生きられるのならそれを優先したいし、そんな貴女にずっと側にいて欲しい。そう願っているだけです」
二人の熱いまなざしとアプローチに思わず顔が火照って、頬に手を当て俯く。
やはり今度の転生は願ったとおりドキドキラブラブな展開。
女の子として幸せな人生を送り出しているのだろう。