Dashboard Confessional_2
「カーーーーット!!!!」
くぅ~~~~!!!!
いつまでも熱く抱き合う2人!
これは間違いなくヒケコイを超える超傑作になるぞぉ!!
「アタック・オン・ピッグモンキー・エクソシスト3」なんてクソ映画の撮影を中止して大正解だったぜ!!
おっと、こうしちゃおれん。
さっさとラピッド返しに行って次のシーンの撮影だ!
「悪いが休んでる暇はないっ!! さっさと次撮りにいくぞミリア!」
「え? あ! ちょっと!」
俺はカメラを背負って早速ラピッドに飛び乗った。
――けれどまさか、それが俺の人生で一番の後悔になるとは、この時は思いもしなかったなぁ。
「ミリア。」
慌てて離れようとしたミリアをカインが呼び止めたんだ。
「いってらっしゃい。」
再び向かい合う2人。
て、え、おい――何勝手にドラマ始めちゃってんのよ。
「うん……。」
ー ありがとう、大好きな人。 ー
「ぁ。」
ミリアが目を伏せて、言葉に詰まったその一瞬から、ふとそんな心の声が聞こえた気がしたんだ。
「行ってきます。」
あ~ぁ……。
「……。」
バカだな、俺は――
最後まで、カメラ回しときゃ良かったよ――
あんな良い笑顔、生涯もう撮れねぇぞ――
2人を乗せて颯爽と駆けて行くラピッドを見送りながら、カインは思った。
「あれ……。ん、僕は…どうやって帰ればいいんだろう……?」




