Everything I Never Was_2
「でねっ! しー君満更でもない顔しちゃってっ! それがまた可愛いのよぉ~!!」
「まぁ、エロティックプリティタイプなんて、なかなかのプレイボーイねぇシーヴちゃんっ!!」
「はぁ……。あの、ところでボーラさん……。その、フレンさんの事――なんですけど……。」
ボーラさんに家の中に案内されてかれこれ30分――俺達はひとまずお茶を飲みながら談笑していた。
そしてそれは主にニャンニャンリバティ・エロティックプリティタイプの話であり、当然誰も興味がないと思われるのでザクっと割愛する。
んで、ここからが本題――
「フレンさん、先ほども特に反省した様子もなくて――賭博に行く、と言ってそのまま去ってしまいました。あのヒト、いつもああなんですか?」
「…………。」
沈黙。
笑顔だったボーラさんの表情は一転、口角を下げたまま硬くなり、視線を落としたまま黙り込んでしまった。
折角久しぶりに遊びに来たというのに、急に空気を重くしてしまって申し訳ないとは思っている。
けれどだからといって、放っておけるような安い問題ではない、そう思った。
いらぬお節介かもしれない。
けれど僅かでも力になれることがあるのなら、俺達を助けてくれた優しいボーラさんの力になりたい。
それに滞った悪い空気の入れ替えには、第三者の介入というのがとても大切なことだと俺は思うから。
頑固、偉そう、自己中、生真面目――なんとでも言え。俺は引かない。
「ん……。そうね……。あんなみっともないところ見られてしまって、恥ずかしいったらないわ……。
それにいまさら隠してもしょうがないわね、少し長くなるけど聞いてもらえるかしら。」
「はい、もちろんです。」
「それと、一つだけ。この話を聞いても、お願いだから、フレンの事は刺激しないで頂戴ね。」
「……。」
それは、約束は…できない……。
勿論俺だって大人のつもりだから、喧嘩や揉め事にはならないだろうけど――
「しー君……?」
「……。」
けれどもし、フレンさんがボーラさんの気持ちを、踏みにじるようなことがあれば、俺は――
だって、そうだろう。
働いたら負け――なんて、ヒトに迷惑を掛けているヤツが言っていい台詞じゃない。
「……。」
「フレンと、ワタシはね――」
押し黙る俺を、信じてくれたのだろうか……。
少しの沈黙のあと、ボーラさんはポツポツと話し始めた。




