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最後の魔女は目立たず、ひっそりと暮らしたい  作者: アイイロモンペ
第2章 リーナと一緒に旅に出ます
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第26話 保護した少女と精霊

 私がアリィシャちゃんを保護することを決めると、テレーゼさんが尋ねてきました。


「ロッテ様、よろしいのですか?その子は『流浪の民』の子、異民族なのですよ。」


 テレーゼさんは、異民族に抵抗があるのか私がアリィシャちゃんを引き取ることに余り良い感情は持っていないようです。


「私は別に人種や民族は気にしません。

 それよりも、アリィシャちゃんが私と同じで精霊と親しき者だという事の方が大切なのです。

 アリィシャちゃんは精霊との正しい付き合い方を学ばないと不幸なことになります。

 同じ力を持つ者としてそれを見過ごす訳にはいきません。」


「ロッテがそう言っているのですから、良いではないですか。

 テレーゼが口を挟むことではありませんよ。」


 私の言葉に頷いたリーナがテレーゼさんを諌めました。


「ロッテ様、申し訳ございません。出過ぎたことを申しました。」


 テレーゼさんも一応は分かってくれたようです。



     **********



 さてと、場所を変える前にアリィシャの傍らにいる精霊と意思の疎通が出来ないと不便です。


「アリィシャちゃんの傍にいる精霊はあなたのことをとても大切に思っているの。

 あなたと仲良くなりたいと思っているのよ。

 もし、あなたもその精霊と仲良くなりたいの思うのであれば、私の言う通りにして。

 精霊をあなたの掌の上に招いて、精霊に名前を付けてあげて。

 精霊がそれを受け入れれば契約成立、精霊と言葉を交わすことが出来るようになるわ。」


 私が自分の前に出した掌にブリーゼちゃんを乗せて見せるとアリィシャちゃんもマネをします。

 さっきの精霊がアリィシャちゃんに招かれるように掌に乗りました。


「あなたの名前はリア、よろしくね。」


 アリィシャちゃんが精霊にそう名前を付けるとポンと掌の上に身の丈十インチほどの精霊が姿を現しました。


「ハイ、素敵な名前を有り難う。私はリア。今日からよろしくね、アリィシャちゃん。」


 風の精霊リアが白銀の髪を風に揺らして、アリィシャちゃんに挨拶をしました。

 光沢のある白い布をゆったり体に巻いたような民族衣装を纏った、かわいい精霊です。


「きゃあ、かわいい!」


 リーナが私の後ろで興奮しています。

 私は騒がしいリーナにブリーゼちゃんを押し付けて黙らせました。


 これから、リアには真面目な話しをしないといけません。


「こんにちは、リア。私はロッテ、これからアリィシャちゃんの保護者になるからよろしくね。」


「あっ、お姉さん、アリィシャちゃんを助けてくれて有り難う。」


 リアは礼儀正しくお礼を言うとぺこりと頭を下げます。こういうところはきちんとしていますね。


 でも……。


「あなた、アリィシャちゃんを護るために勝手に力を使ったでしょう。

 他の人にはあなたのことが見えていないのだから、勝手に力を使ったらダメよ。

 あなたはアリィシャちゃんのことを大事に思っているから力を使ったのでしょう。

 でもね、その結果アリィシャちゃんは周りから気持ち悪くみられて追い出さされちゃったの。

 人はね、自分に理解できない不可解な現象に直面するとそれを恐れるの。

 悪魔憑きなんていったりしてね。」


「ゴメンなさい。アリィシャちゃんが置き去りになったのはわたしのせいだったんだ。」


 私が諭すとリアは項垂れてしまいました。


「そんなにしょげないでいいわ。

 アリィシャちゃんが大人になるまで、私がちゃんと保護するから。

 アリィシャちゃんにはこれから精霊との付き合い方をきちんと教えていくから心配要らないわ。」


 するとリアが恐る恐る尋ねてきました。


「ロッテお姉さんのところ、リアもくっ付いていって良いの?」


 迷惑をかけたので一緒にいても良いものか不安になったのでしょう。


「もちろんよ。リアはアリィシャちゃんの契約精霊になったのでしょう。

 これからも、リアの傍にいて護ってあげてね。

 それと、うちの子達とも仲良くしてね。」


 私はそう言って契約精霊たちをリアの前に並ばせました。


「うん、わかった。みんな仲良くしてね!」


「「「「「「はーい」」」」」」


 リアはうちの子達に無事受け入れられたようです。


 さて、今度はアリィシャちゃんです。


「今のを聞いていて分かったかも知れないけど、親方を吹き飛ばしたのはリアの仕業なの。

 あなたが殴られそうになったので護りたかったのね。」


「うん、リアはわたしのことを護ってくれたんだね。

 すごいね、あんな小さいのに親方を吹き飛ばしちゃうんだ。」


「そうね、精霊の力って凄いのよ。もっと、もっと凄いことも出来るの。

 だからね、その力は正しく使われないと大変なことになっちゃうの。

 私の言っている事が分かるかな?」


「わかるよ、悪魔憑きと言われて、周りの人から怖がられるんでしょう。

 こんな風に捨てられちゃうの。」


 アリィシャなりに私の言う事を理解しているようでションボリしてしまいました。


「そんなにションボリしないで。

 そうならないように、これから私が色々と教えてあげるから。

 精霊のことの他にも、アリィシャが大人になった時に独り立ちできるように必要なことは全部教えるから安心しなさい。」


「わたしにできるかな?」


 アリィシャが不安そうに尋ねてきます。


「ちゃんと出来るようになるから安心して。

 時間はたっぷりあるのだから、ゆっくり覚えていけば良いわ。

 さあ、立って、一緒に行きましょう。」


「はーい!」


 私がアリィシャに手を差し伸べると、アリィシャはやっと笑って私の手を取りました。



    **********



「くううぅ…。」

 

 さてこれからどうしようと考えていると、アリィシャのお腹がかわいい鳴き声をあげました。


「アリィシャ、お腹空いたの?そうか、朝ごはんを食べていないのね。」


「うん…。」


 私の言葉にアリィシャがお腹に手を当てて頷きました。

 朝起きたら置き去りになっていたのです。朝食をとっているはずがありません。


 私がどこかでアリィシャに食事をとらせないといけないと考えているとヘレーナさんが提案してくれました。


「ホテルへ戻ってルームサービスを使うのがよろしいのでは。

 その方がアリィシャちゃんも回りに気兼ねすることなく、落ち着いて食事が出来ると思います。」


 そうですね、ルームサービスならばマナーとかに気を使う必要ないですからね。

 私はヘレーナさんのアドバイスに従うことにしました。

 すると、今度はリーナが言います。


「お腹が空いているアリィシャちゃんには気の毒ですが、ホテルに戻る前に寄らないといけない場所がありますね。

 その服装では、私達の逗留しているホテルに入れてもらえませんよ。

 アリィシャちゃんに服を買いましょう、幸いここまで来る間に何軒か服屋がありました。」


 アリィシャちゃんの服装を改めて見ると、お世辞にも良い身なりとは言えません。

 私達が逗留しているホテルは貴族が御用達としている最上級のホテルです。

 たしかに、入り口でドアボーイから立ち入りを拒絶される恐れがありますね。


 リーナの提案に従いアリィシャちゃんに服を調達してからホテルに戻ることになりした。


 食事が遠退いてアリィシャちゃんは少し悲しそうです。

 気の毒に思いましたが、少しだけ辛抱してもらうことにしました。

 

お読み頂き有り難うございます。

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