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最後の魔女は目立たず、ひっそりと暮らしたい  作者: アイイロモンペ
第5章 渡りに船と言いますが…
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第101話 喜んでもらえて何よりです

「戻ったわよ。」


 そう声を掛けながら、私はステラちゃんの待つリビングルームに入っていきました。


「ロッテ、あなた、いったいどこへ行っていたの?

 突然、屋敷の中からあなたの気配が消えたわよ。

 かと思えば、突然気配が現れるし、しかも、急に数が増えている。」


 さすが、家に憑く精霊だけあって建物の中の気配には敏感なようです。

 私がこの館から消えたことと、戻って来たことをこの場にいて気が付いていました。


「さっき言ったでしょう。

 アルムハイムの館に友達を迎えに行くって。

 紹介するわ、私と同じくらいの年のレディーがリーナ、小さな女の子がアリィシャちゃんよ。

 こっちの子が、この館を守ってきたブラウニーのステラちゃん。

 二人とも自分の契約精霊も出してステラちゃんに挨拶して。」


 私がリーナとアリィシャちゃんに促すと、二人は契約精霊を呼びました。


 そして、自己紹介を始めます。


「初めまして、ステラさん。

 私はカロリーネ・フォン・アルトブルク、リーナと呼んでね。

 こっちの子は、私の契約精霊のシアンちゃん。水の精霊なの。

 私ともどもこれからよろしくね。」


「こんにちは、ステラちゃん。

 私はアリィシャ、アルムハイムから来ました。

 一緒にいるのは風の精霊リアと水の精霊クシィです。」


 二人がそう言って精霊と共にお辞儀をすると、ステラちゃんは目を丸くしています。


「あなた達、本当にそのアルムハイムという場所からきたの?今さっき?

 凄く遠いのでしょう、海の向こうだって聞いたわ。

 精霊の契約者がこんなにいるのも驚きだけど、この短時間でそんな遠くから来たという事の方が驚きだわ。」


「そう、それが私の一番の秘密でもあり、この館を購入した理由でもあるのよ。

 私は魔法使いだって言ったでしょう。

 私の使う魔法の中に離れた場所を瞬時に移動するものがあるの。

 転移の魔法と呼んでいるのだけど、これね普通に使うと発動するのがすごく大変なの。

 そこで、あらかじめ発動媒体を作って設置しておくのよ。

 そこに魔力を流すだけで発動するから便利なの。

 遠く離れた場所を瞬時に移動できるなんて便利でしょう。

 そんな魔法の事を知られたら、我欲のために利用しようと企む輩が出てくると思わない?

 だから、人目に付かないところに転移魔法の発動媒体を設置したいの。

 そのための自分の館なのよ。

 他人が入り込めないから秘密を守れるでしょう。」


「ほえ~、これは本当にびっくりしたわ。

 何百年も生きてきたけど、転移の魔法を使う魔法使いなんて初めて見たわ。

 そういえば、昔は魔法使いも結構いたけど、最近はとんと見ていないわ。」


 ステラちゃんは私の説明を聞いて、転移の魔法に心底感心しているようでした。

 昔はアルビオンの地でも魔法使いをよく見かけたそうです。

 ですが、たいていの場合移動は箒に乗って空を飛んでいたそうで、転移魔法を使う魔法使いは見たことないそうです。

 

「この館に住み着いてからは一度も魔法使いが空を飛んでいるのを見たことがないわね。」


 ステラちゃんは遠い目をして言っていました。


 やはり、魔女狩りのせいでいなくなってしまったのでしょうか…。



     **********



「それでね、ステラちゃん、他のブラウニーがこの館に住むのはイヤかしら?」


 転移魔法の話が一段落したので、私は連れてきたブラウニー達の話しをしようと思い、尋ねてみました。


「そんなことはないわよ。昔はこの館にも私以外のブラウニーが住み着いていたもの。

 仲良くやっていたわ。

 でもどうして?」


「遠い異国に興味津々の好奇心旺盛なブラウニーが私の館に住み着いていてね。

 私がここに家を買ったといったらぜひ来たいという子たちがいたのよ、十人ほど。

 ステラちゃんさえ良ければ、ここに住まわしてくれないかな?」


 私の言葉を聞いたステラちゃんは目を輝かせました。


「なんと、同輩が移ってくるのですか?十人も?

 願っても無いことです。

 人がいなくなって、精霊もいなくなって、寂しかったんですよ。

 昔みたいに賑やかになるなら、私は大歓迎です。」


「そう、それは良かったわ。

 みんな、ステラちゃんのお許しが出たから入ってきて。」


 私が部屋の外に呼びかけると、廊下から十人のブラウニー達がぞろぞろと入ってきます。


「こんちはー。

 わたしゃ、風来坊のブラウニーで名前はないんだ。

 しばらくロッテちゃんの館に住み着いていたんだけど、滅多に姿を現さなかったもんでね。

 あなたがこの家を守ってきたステラちゃんね、よろしくね。

 この館に凄く愛情を注いで守ってきたのね、とても居心地が良いわ。

 私達もこれからステラちゃんのお手伝いをするね。」


 さっき、私に話しかけたブラウニーが代表してステラちゃんに話しかけました。

 同じ顔なのになぜ、さっきのブラウニーだと分かるかって?

 だって、口調が同じなのですもの。


「信じられない…、今でもこんなにブラウニーがいたなんて…。

 ええ、歓迎するわ。

 同輩が来てくれてとても嬉しいわ、仲良くやりましょう。」


 ステラちゃんは、最初、すっかり見なくなってしまった同族たちがたくさん現れたことに放心気味でした。


 でも気を取り直すと、すぐに連れてきた十人のブラウニー達を受け入れてくれました。

 ステラちゃんは十人のブラウニーを連れてきたことを予想以上に喜んでもらえたようでホッとしました。


 それでも、ここに住まないのは申し訳ないなと思い、私はステラちゃんに謝りました。


「ごめんなさいね、ずっとここに住む訳にはいかないけど…。

 こんな風にちょくちょくこことアルムハイムを行き来するから許してね。」


「ええ、色々と気を遣ってもらって有り難う、ロッテ。

 同輩がこれだけいれば、もう寂しくないわ。

 ロッテが留守中、この館はきっちり手入れをしているから安心してちょうだい。

 それに、冬はずっとこっちにいるのでしょう。

 賑やかになるわね。

 楽しみだわ、今年は早めに冬ごもりの用意をしないと。

 秋になったら狩りにもいかないといけないわね。」


 もうステラちゃんに気落ちした様子は見られませんでした。

 私達が滞在するのが待ち遠しいようで、ステラちゃんはもう冬場の話をし始めました。

 幾らなんでも気が早いでしょう、まだ五月なのですが…。

 それと…、やっぱり狩りはするのですね、虫も殺せないないような姿をして…。


 内臓のプディングはやめて欲しいと、あらかじめ言っておいた方が良いでしょうか?


お読み頂き有り難うございます。

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