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最後の魔女は目立たず、ひっそりと暮らしたい  作者: アイイロモンペ
第5章 渡りに船と言いますが…
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第100話 初めて知りました、ブラウニーって…

 チリ一つないように館を磨き上げて、私が越してくるのを待っていてくれたステラちゃん。

 今、他の精霊たちに囲まれて楽しそうにしているステラちゃんを見て私は少し心を痛めてました。


 ステラちゃんは、私達がここに住むと思っているはずです。

 この館は別荘のようなもので、冬場はここで過ごすつもりですが、普段は余りこちらで過ごすことはありません。

 そのことを告げたらきっとステラちゃんは悲しむでしょう。


 楽しそうにみんなとおしゃべりしているステラちゃんに水を差すのは心苦しいです。

 しかし、すぐにわかってしまう事ですので、早めに教えておいた方が良いでしょう。


「ステラちゃん、言ってなかったけど、私達はここに引っ越して来る訳ではないの。」


「うん、どういう事ですか?

 ロッテはこの屋敷を買い取ったのですよね。

 ここに住むんじゃないのですか?」


 ステラちゃんはキョトンとして尋ねてきました。


「実はね、ここは別荘のようなものなの。

 ステラちゃん達精霊には関係ないことかもしれないけど、今、人の世界は急速に変化しているの。

 その中心がこの国、だから、時代に流れに取り残されないようにここに拠点を構えたの。

 ここで、新しいモノを掴んで、自分の住む場所の発展に役立てようと思ってね。

 私は年に何回かここを拠点にこの国の中を巡るつもりなのよ。

 だから、この屋敷に滞在するのはそんなに多くはないと思うの。」


「そうなのですか?

 せっかく、賑やかになると思って楽しみにしていたのに…。

 やっぱり、私は一人ぼっちなのですか?」


 やはりステラちゃんは、私がこの館に住むことを楽しみにしていたようです。

 私の言葉に気落ちしてしまったように見えます。


「ごめんね、私もアルムハイムにある自分の家を守らないといけないから。

 でもね、冬場、そうね十二月から二月までの三ヶ月間はずっとここに滞在するつもりなのよ。

 私の住んでいるアルム山脈の麓はね、十フィート以上雪が積もって冬場は出歩けなくなってしまうの。

 この町は寒いけど雪は余り降らないみたいですからね。

 それと、ちょくちょく顔を見せるからそんなに気落ちしないで。

 ちゃんとみんなも連れてくるから。」


「ちょくちょくですか?

 ロッテは住んでいるところはすごく遠い所じゃないのですか?」


「ええ、凄く遠いの。

 だからこそ、家が一つ欲しかったの、誰にも見られる心配のない家が。」


「????」


 私の言葉を理解できないようで、ステラちゃんは首を傾げています。


「ちょっと待っていてね。

 アルムハイムの家に戻って友達を連れて来るから。

 その子達も精霊と契約しているの。

 契約精霊も一緒に連れてくるわ。

 ステラちゃんはみんなとおしゃべりでもして待っていてね。」


 私はステラちゃんにそう言うと、私が使う予定のメインベッドルームに行き転移魔法の発動媒体を設置しました。

 そして、そのままアルムハイムの館へ転移したのです。



     **********



「アインちゃん、ちょっと良いかな?」


 私はアルムハイムの館に戻るとブラウニー隊の代表アインちゃんに相談を持ち掛けました。


「はい、ロッテちゃん、何でしょうか?」


「ブラウニーって、家に憑くでしょう。

 家を変わることってできるのかな?」


「できるか、できかないかと訊かれればできますね。

 ブラウニーはその家が気に入れば勝手に住み着きますので。

 この館は住み心地が良いので増えちゃいましたけど。

 この館ができた頃から住み着いていたのは私の他は数人しかいなかったのですよ。

 他のみんなは余所から流れてきて住み着いたのです。

 それがどうかしましたか?」


 私はアルビオン王国に館を購入したこととその館を一人で守ってきたブラウニーのステラちゃんのことをアインちゃんに話しました。


「ステラちゃんが一人で寂しそうなので、少し向こうの館に移れないかなと思って。

 もちろん、無理にという訳ではないのよ。

 ブラウニーの習性で移ることが可能なのかどうかを知りたかったの。」


 アインちゃんは少し考えてから口を開きました。


「ここにも風来坊のブラウニーがいますから聞いてみます。」


「風来坊?ここのブラウニーって、最近流れてきた子もいるの?」


「あら、ご存じありませんでしたか?

 毎年、十人くらいは入れ替わっているのですよ。

 流れてくるブラウニーも居れば、好奇心旺盛で出て行くブラウニーもいます。

 中には出戻りもいますよ。

 結構、ブラウニーって、自由なのです。

 遠くへ行くって言えば、好奇心旺盛なのが手を上げるかもしれません。」


 ご存じありませんでしたと聞かれても…、私にはみんな同じ顔に見えて区別がつかないし…。


 そんなに転々と住み着く家を替えるブラウニーがいるなんて初耳でした。

 ブラウニーって、基本一つの家にずっと住み着くものだと思っていました。

 そもそも、うちにいるブラウニーって、みんな恥ずかしがり屋で人前に出てこないのに、好奇心旺盛で風来坊ですか…。

 なんか矛盾しているようで、想像できません。


 アインちゃんが他のブラウニーに話をしに行っている間、私はアリィシャちゃんとリーナを呼びに行きました。

 それと、ペガサスのヴァイスも。



     **********



 私が二人と一匹(?)を連れて戻ってくると私の寝室にはアインちゃんとその後ろに並ぶ十人のブラウニーが待っていました。


「ロッテちゃん、みんなに聞いてみたらこの十人がぜひ行きたいって。」


 是非と言われて私は少し落ち込んでしまいます。この十人にとってこの館は居心地が悪かったのでしょうか。

 そんな私の気持ちを察してか、今まで話したことがない一人のブラウニーが話しかけてきました。


「わたしゃ、一度でいいから海の向こうって行ってみたかったのさ。

 流れて海岸近くまでは行った事があるんだけど、さすがにこの体では飛んで海を越えるのは難しいのさ。

 ロッテちゃんが海の向こうまで運んでくれるんだろう。

 こんなおいしい話、乗らないでか。

 一人の精霊が百年も守り続けている家なんだろう、それなりに居心地の良い家だろう。

 しばらくはそこに厄介になるさ。」


 アインちゃんと同じ顔をしたブラウニーが、そう言って豪快に笑いました…。

 本当に好奇心旺盛のようです。

 とても、人見知りの恥ずかしがり屋には見えません。こんな子がうちに住み着いていたのですね。


 私は、十人のブラウニーにステラちゃんと仲良くしてくれるようにお願いしました。

 ステラちゃんのテリトリーを侵すような真似をしてもらったら困りますので。


 十人ともそれに同意してくれたので、私はステラちゃんの話し相手としてこのブラウニー達を連れて行くことにしました。

 私は、二人と一匹(?)に加えて、ブラウニー十人を連れてアルビオン王国の館に転移したのです。

 

お読み頂き有り難うございます。

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