第七話 魔術師協会の受付嬢
今宵もハルの研究室には要人が集まり秘密の会合が進められている。
内容は民主主義の勉強会であるが、初日からしばらく続く基礎的な議論はもうされていない。
何故ならば、ハル自身が『民主主義』と言う社会政治学の専門家ではなかったため、彼女の持つ知識が限られていたからだ。
これはハルが悪い訳ではなく、彼女が元の世界で生活していたのは中学生までであり、それ相応の知識と経験しか持っていなかったためである。
むしろ、ハルの年齢でかなり深いレベルまで持つ科学や物理の知識の方が異常であったりするのだ。
その科学の知識は彼女の両親や環境による影響が大きかったのだが、そのお陰でこの世界へ飛ばされたとき、科学と魔法を組み合わせた魔道具師として大成できたので、彼女にとって幸運だったのかも知れない。
そして、歳相応でしかない社会学や政治学の知識については彼女の手にも余るものであった。
そこで活躍したのは彼女の持つハンズフリースマートのXA88。
この電子機器には膨大な知識が蓄積されており、エストリア帝国の偉人達にハルの居た世界の知識を惜しげ無く提供してくれる。
今も膨大な民主主義に関する法律をゴルト語へ翻訳する作業が進めてられていた。
XA88によって投影された映像資料を光の魔法を駆使して紙に転写し、東アジア言語で書かれていた膨大な法律文書を翻訳しているのだ。
あまりにも膨大な文書であるため、ハルだけでは賄いきれず、アクトと手分けして進めている。
アクトもハルと『心の共有』を果たしたお陰で、東アジア言語も、そして、ハルの居た世界の文化も正しく理解できている。
こうして、アクトは民主主義を理解する会合では貴重な戦力となっていたが、今日はあまりに調子が良くない。
先程からミスを連発し、時折、眠そうに眼を擦っている。
「アクトさん、大丈夫ですか?」
一緒に作業を進めていたエレイナが彼の事を気遣い言葉をかける。
「ああ、申し訳ありません。少々眠ってしまったようです」
アクトはすぐに気を取り直し、顔叩き作業に戻ろうとするが、それを見兼ねたエレイナが制止する。
「アクトさん、体調の優れないときに無理をしてはいけませんよ。ハルさん!」
エレイナの呼び掛けに、別のチームで翻訳作業をしていた白魔女のハルが作業を中断して、アクトの元へと戻ってきた。
「アクトはもう駄目そうね。エレイナ、申し訳ないけど彼を休ませるわ」
「ええ、構いません。一日二日程度遅れたところで我々はそこまで急ぐ訳でありませんし、それよりもアクトさんが倒れられては本末転倒です」
エレイナの気遣いに申し訳なさそうにするアクト。
「ハルやエレイナさん、他の皆さんが一生懸命徹夜でやられているのに、自分だけが不甲斐なくて申し訳ないです」
「何を言っているのよ、アクト。今日のアナタはアークとして私の代わりにいっぱい呑んでくれたのでしょ。それだけで十分仕事は果たしたわ」
ハルの言うとおり、アクトは日付が変わる前に大きな仕事を既に熟していた。
『新人歓迎会』という名の飲み会の席で、お酒があまり飲めないハルに代わり先輩研究補助員からの酒をアクトが一手に引き受けていたのだ。
新人に大量の酒を呑ませると言う帝都大学の悪しき習慣であったが、それを拒否するのもあまり良くないらしい。
そういう死地(?)を乗り越えて研究者達の絆が深まるという事らしいので、遥かの昔より受け継がれている伝統なのだとか・・・
別に絆など深めたくないハルであったが、アクトは性格上そういう儀式を白けさす事を嫌っていたので、「僕がハルの代わりに・・・」と先輩たちの酒を一手に引き受けていたのだ。
それなりに呑めるアクトでもあったが、それでも彼は人間である。
一定以上のアルコールは確実に身体に毒なのだ。
新人歓迎会が終わった時、アクトは酩酊に近い状態だった。
家まで送ろうと言ってくれた先輩研究補助員フランツの申し出を丁重に断り、この研究室まで戻ってきたハル達。
完全に酔っ払ったアクトを介抱するため、身体を密着させて解毒と酒抜きの魔法を行使する。
これにより多少具合の良くなったアクトだが、それでも魔力抵抗体質の力がいかんなく発揮されてハルの魔法の一部を阻害するようで、完全回復までには至っていない。
「すまない。それじゃあ、お言葉に甘えて、少し休ませてもらうよ」
強がっていたアクトも、さすがにこれ以上は難しい事を悟り、研究室の隅に設えられたソファーに横になり、そして、直ぐに寝息を始めた。
(もし、事態が悪化するならば、白魔女になった状態でもう一度解毒の魔法を行使する必要があるわね・・・)
ハルはそう思いながらも集まった研究者達に向き直って手を叩く。
「皆さん、申し訳ないわね。アクトは休ませたけど、私がふたり分働くから許して下さい」
「ハルさん、我々はこの程度の些細な事を気にはしていません。そんなに張り切らなくても、しっかりと報酬はふたり分払いますから」
エレイナからは今回は不可抗力であり、あまり気にするなと言ったつもりだが、それはハルにとって挑戦だったりする。
「ふふふ。エレイナさん、甘いわね。私は契約を重視する女よ。しっかりとふたり分の仕事を時間までに終わらせるからね。相方がピンチのときこそ、私が頑張らなくっちゃ。さあ、私の本気についてこれるかしら?」
妙にやる気を漲らせたハルはその後に彼女の本気で仕事を進める事になる。
仮面の力を駆使して並列に思考を展開し、アクトの受け持っていたチームと自分のチームを行き来する白魔女ハル。
周囲の人間は果たしてハルがふたり居るのではないか?と錯覚するような働きを見せて、夜明け前に予定どおり目標としていたところまで翻訳を果たすのであった。
仕事を終えて、秘密の会合に参加していた知識人達を帰らせたハルは結局、朝まで寝ていたアクトを起こし、携帯型のお風呂を使ってさっぱりと湯浴みを済ませる。
十分な睡眠と休息が摂れたアクトはこれで完全復活を果たし、ハルに礼を述べるが、ハルこそアクトへ感謝を伝えていた。
自分としても、あの酒宴の場でそのままの勢いに飲まされていたら、無事ではなかっただろう。
それに先輩研究員達―――特にフランツの下心も見え隠れしていたから、余計に警戒していた。
そんな事もあったが、とりあえずアクトが無事に復活を果たし事でハルもひと安心する。
「はぁ・・・アクトも魔法が使えたらいいのにねぇ」
それはハルの何気ない一言だったが、その言葉に自分でハッとなり何かを思いつく。
「その顔は・・・新しい魔道具のアイデアが浮かんだって顔だね」
アクトにはバレていた。
『心の共有』を果たした彼に秘密事をするのは既に難しいのだが、そんなモノがなくてもアクトはハルのこの変化に十分気付いてくれるのだ。
「ウフフフ、解っちゃった!?」
可愛くそう言う仕草をしてしまうハルに、アクトの心は全快になった以上に軽くなる。
このエストリア帝国には『魔術師協会』なる組織が存在している。
この組織の目的としては魔法技術の向上と魔術師同士の情報共有であり、このエストリア帝国以外の国でも同じような魔術師の組合組織が存在している。
少なくともエストリア帝国では魔術師の適性試験を実施する国の機関でもあるし、適性試験に合格して魔術師を名乗ろうとするならば、この協会に所属しなくてはならない。
所属すると会費を治める義務が発生し、学生ではお小遣い程度の金額だが、社会人魔術師となると立場に見合った納付金が請求される。
その見返りとして、魔法関係の仕事の斡旋や新しい魔法の呪文の情報提供(有料)、魔法素材の融通などが得られる。
公的組織として安泰な経営であるこの協会は若き魔術師の就職先としても人気だ。
そんな狭き門に就職を果たして早三年となる帝都ギルド協会の受付嬢レヴィッタ・ロイズは朝から嫌な客の相手をさせられていた。
「だから駄目です。品物をお渡しする事はできません」
「そこを何とかお願いします。今日、あれを持って帰らないと教授に怒られるんです」
ここで麗の受付嬢に食い下がっているのは彼女と同世代だと思われる女性研究補助員。
この帝都大学在住の女性研究補助員は正規な魔術師会員では無かったが、彼女の所属している研究室からはよくおつかいとして派遣されており、この魔術師協会の帝都本部で厄介な客として既に有名人となっている。
他の先輩受付嬢からも嫌がられて、半ばその担当を押し付けられるような形で一番若いレヴィッタに対応が回ってきたのは年功序列の縦社会によくある事だ。
「だから、ミールさん。何度も言うように、先月の素材代金の支払いを済ませていただけないと、この魔法素材はお渡しできません」
「そこを何とかお願いします」
もう何十回続いているのか解らないこのやり取り。
このミールという女性はしつこいことでも有名だった。
受付嬢はうんざりしながらも、この仕事を自分に押し付けた先輩を恨むとともに、今日の午前中の受付業務がこれで終わりになるかも・・・と覚悟しかけたとき、その状況を打破する出来事が起きた。
ここで協会の門を開けて入ってきた若い男女が、この争いの声を聞きつけて近付いてきたのだ。
「あれ? 君って、バーメイド教授のところミールさんじゃないか?」
剣術士風貌の男が問題の客に声を掛ける。
そして、その声と姿に問題の女性研究補助員は驚いた顔に変わる。
「え? 貴方はアークさん!? どうして?」
困惑とともに顔を赤くするミール。
確かに、この男性は威風堂々としていて格好いいかも・・・一瞬そんな事を思ってしまう受付嬢レヴィッタ。
剣だって腰に二本刺している。
最近流行りのラフレスタ・スタイルだ。
(今のイケてる男子は、皆、ラフレスタの英雄の真似をするのよねぇ~)
そんな評価をしつつ、このアークと呼ばれた男性を値踏んでいると、そのツレである女性魔術師が口を挟んできた。
「どうして、って言われても・・・研究に必要な魔法素材を追加購入するために私達は来たのよ」
強い口調でそんな事を言う女魔術師はレヴィッタ側からフードに隠されて顔が見えない。
それに灰色のローブを着ていた。
学生ならまだしも、社会人でこの色を選ぶという事は素人も当然の魔術師だという事を自ら認めているようなものだ。
勿論、本来は何色のローブを着ても罪にはならないのだが・・・敢えて魔術師見習いを示す灰色ローブを選ぶ者など殆ど存在しない。
(それでも、なんだか昔の学生服みたいで懐かしいわ)
そんな、どうでもいいことを考えてしまうレヴィッタだが、客同士の会話は進んでいく。
「ミールさん、要件を早く済ましてよ。私達もそんなに暇じゃないのだから」
急かす女魔術師にミールという問題客もモジモジとしながらも言い訳をする。
「私だって早く素材の引き取りを終わらせたいのです。そうしないと、また、あの教授に怒られてしまうんです・・・それでも、そこの受付の人から『絶対に渡せない』って言われて・・・」
如何にも自分が困っていますと言うこのミールの素振に、レヴィッタは軽い殺意を覚える。
客には解らないように眉間にシワを寄せるレヴィッタだが、ここで剣術士風の男性より声をかけられた。
「素材を渡せないとは、一体どういう事ですか?」
勿論、麗の受付嬢は顔に出さなかったが、礼儀正しく誰何してきたこのアークと呼ばれる男性には正しく自分達の立場を答える事にしようと思う。
レヴィッタはそんな事を思い、こうなった経緯を正しく簡潔に説明する。
「実は・・・こちらのゼーリック・バーメイド研究室様との取引なのですが、先月の取引代金をまだご入金いただけなくて、現在は取引停止の状態なのです」
「ええ? 本当なのですか!」
アークと呼ばれた男性は本当に驚いたようであった。
「ミールさん、本当に払っていないのですか?」
アークの誰何する視線はミールへと移る。
(よかった・・・常識のある人で)
レヴィッタはこのアークと言う男性が普通の人だった事に大きく安心する。
対するミールと言う女性客はどういう態度を取るか少々迷っていた様子だったが、その後、渋々に首を縦に振り、その事実を認めた。
(やっぱり、この女め。莫迦なふりしていて、本当の事を解ってやっていたんだわ!)
レヴィッタの殺意は一段階上がる。
彼女の中の『いつかぶっ殺す』リストにこのミールという女性も入った瞬間である。
ちなみにそのリストの中にはいつもセクハラをしてくる協会の理事や、前月に別れた彼氏の名前もあったが、それは今はいいだろう。
「でっ、でも、今日、素材を貰ってこないと、教授にとても怒られるんです・・・」
ここでもミールは先程からの言い訳を続けてくる。
(出た! もう呆れるしかないわよね)
レヴィッタはそう思いげんなりするが、このアークとツレの女魔術師も同じ印象を抱いたらしい。
「あのね・・・ミールさん。払うものを払わないと売ってくれないわよ。この人達だって慈善事業でやっている訳ではないんだから」
「でも・・・それでも」
「とりあえず、立て替えるとかできないの?」
「私って、手持ちのお金も少ないですし・・・そもそも私如きが払える金額じゃないし・・・」
モジモジとするミールに更に呆れる女魔術師。
(いいぞ。もっと言ってやれ!)
レヴィッタは心の中ではこの灰色ローブの女魔術師の事を応援しつつ、顔は無表情の商売顔を貫いていた。
「それじゃあ、いつまで経っても素材を買えないじゃないの・・・一体どうするのよ?」
「・・・」
ただ困るだけのミールに、この女魔術師も諸手でお手上げの状態であった。
しばらく考えた女魔術師はもうこれしかないと思ったようで、口を開ける。
「・・・解ったわ。じゃあ、私が代わりに払ってあげる。いくら?」
「「えっ?」」
その声に、ミールとレヴィッタが重なる。
互いに、どうしてそんなことを・・・と思ったからだ。
しかし、相方のアークと呼ばれる剣術士は特に驚かず、レヴィッタに金額を聞く。
レヴィッタは手元にあった書類を恐る恐るアークへと示した。
その書類を受け取ったアークは書かれていた数字を見ずに女魔術師へ手渡す。
それを確認した灰色の女魔術師は・・・
「ふーん。一二〇万クロルね」
この素人風貌の女魔術師は、まるで今日の献立でも述べるようにそんな大金を口にすると、懐の魔法袋からじゃらじゃらと大金貨を取り出す。
大金貨十二枚をアークに渡すと、それをそのままアークから受付嬢へ手渡される。
受付嬢のレヴィッタが唖然としていると、アークから「ご確認を」と催促されて、慌てて鑑定した。
魔法を使い偽物でない事を確認すると、「確かに一二〇万クロルあります」と応えるのが精一杯のレヴィッタ。
そんな思考停止しかかっているレヴィッタに灰色女魔術師は容赦しない。
「確認したのならば、これで取引成立ね。早く素材を持ってきて頂戴」
「あっ、はい!」
レヴィッタは受け取った一二〇万クロルという大金を、慌てて奥の部屋にある金庫へ収め、そして、ミールが所望する魔法素材の入った箱を差出す。
それをアークが受け取り、灰色女魔術師へと手渡すと、灰色女魔術師からミールにリレー方式で手渡された。
「あっ・・・あの・・・その・・・」
どう答えていいか解らないミールに灰色女魔術師は頷く。
持って行っていい、という意味だ。
「あ、ありがとうございます」
「別に、礼には及ばないわ・・・それにゼーリック・バーメイド教授には『近々、ハルが立て替えた金額を取り立てに行きます』と伝えておいてね」
そんな事を平然と言う灰色女魔術師にミールが少々引き攣った顔で反応を示す。
レヴィッタ側からは確認できなかったが、きっとこのときの灰色女魔術師は極悪非道の悪徳商人のような顔になっていたのだろう。
失礼かも知れないが、何となく、そんな強かさの顔を勝手に想像してしまうレヴィッタだった。
「もう行っていいわ」
灰色女魔術師はこうしてミールを解放し、ミールもやっとの事で得られた魔法素材を胸に抱き、魔術師協会から早々と退散するのであった。
「ふう~」
レヴィッタは厄介者が消えてくれたお陰で、思わずそんなため息を零らしてしまう。
このように油断した受付嬢の姿を灰色女魔術師も見逃さなかった。
「うちの大学関係者が迷惑をかけてしまったみたいで、本当に申し訳なかったですね」
「いえいえ、これも仕事のうちです」
ここで初めて互いに顔を見合わせて互いの苦労を労った・・・が・・・
「「ん?」」
レヴィッタと女魔術師が互いの顔を初めて確認し、そこで感嘆符が互いの口より漏れる。
「えっ? もしかして、ハルちゃん?」
「そちらこそ・・・・もしかして、レヴィッタ先輩ですか?」
「「え゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」」
数刻後に、嬉々な声を同時に挙げたふたりの女性が、魔術師協会の受付に居合わせた全ての人より注目を集めてしまうのであった。
「いやー。びっくりした~ まさかハルちゃんだったなんて」
「それはこちらのセリフですよ。レヴィッタ先輩が帝都の魔術師協会で受付嬢をやっていたなんて」
互いにそんな事を言う二人は、同じアストロ魔法女学院に通っていた先輩と後輩の関係でもあったりする。
しかも、レヴィッタとはハルがアストロに来て間もない頃、女子寮で同室のだった事もあり、アストロでハルが唯一仲良くしていた存在でもあった。
「ラフレスタって大変な事になっていたでしょう。アストロには被害なしと聞いていたから大きく心配はしていなかったのだけど、それでも無事な姿を見られて良かったわ」
「先輩、ご心配かけて、ありがとうございます」
「今はどうしているの? さっきの話からすると帝都大学に行っているようだけど」
「ええ、そうです。訳あってしばらくは帝都大学に籍を置いています」
「そちらの素敵な男性は?」
「ああ、彼は・・・アークと言って・・・ラフレスタで知り合いました」
アークと呼ばれたアクトはゆっくり頭を下げて麗の受付嬢に挨拶する。
「アークさんね。こんなにカッコいい男性、ハルちゃんも隅に置けないわよね」
アークの落ち着いた様子から、ふたりの関係がすぐに解ってしまうレヴィッタ。
その後、女子トークに発展しそうな彼女達だったが、上司の男性から咳払いされる事で現在の自分の立場を思い出すレヴィッタ。
「御免ね、ハルちゃん。今は仕事中なのよ」
「いえいえ、こちらこそ。今度うちに遊びに来てください。今はお母さんの所に居候しているので」
そう言ってハルは住所が書かれたメモを手渡す。
「解ったわ。今度、是非、遊びに行かせてね。話したいことも一杯あるでしょうし。今度の日曜日ね」
レヴィッタはそう答えて、ハルより注文のあった魔法素材を手渡す。
それを受け取ったハルも名残惜しかったが、レヴィッタの仕事の邪魔をする訳にもいかなかったので、アークを伴い、これで魔術師協会を後にするのであった。