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普通の勇者とハーレム勇者  作者: リョウタ
最終章 優しい物語を、君に
202/217

1話 家族の団らん〜地獄編〜

あらすじ


孝志、弘子、タカユキは再会。

タカユキと弘子は以前から顔見知りだったが、弘子は娘の旦那と知らなかったらしく、タカユキも嫁の母親だとは気付いてなかった。


その所為でずっと仲が悪かったようだが……


息子の孝志、父親のタカユキ、祖母の弘子。

顔を合わせた三人の家族は、それはそれは楽しい時間を過ごして居た。



「──いや〜弘子さんっ!肩をお揉みしましょうか?疲れてるでしょっ!」


「……ジジイ……随分と媚びるじゃないの、ええ?」


「いやいやそんな!!」


「これまで散々バカにしてたじゃない。なんだっけ?若造りババアだっけぇ?ごめんなさいね若造りで!」


「あんなの冗談ですよぉ〜?それに冷静になって考えて下さいよ?若造りは褒め言葉ですよ〜?」


「おい、都合の良いところだけ切り抜くなっ!若造りババアのババアについて弁明してみろ……んん?」


「いやはは〜……あ、まんじゅう食べます??」


「………それは貰おうかしら」


さっきまであんなに喧嘩してたのに、もうお父さんに反抗の意思は全くない。急いでまんじゅうを取りに行くと、頼んでもない緑茶と一緒に急いで持って来た。



「どうぞ!!」


「そこ置いといて」


「はい我母上!!」


「おいやめろ」


「あ、すいません」


お婆ちゃんにめっちゃ媚びてる……ウケる、もうめっちゃウケるんですけど。

てかお婆ちゃんの正体を知らずに何十年も犬猿の仲って……奇跡だろ(笑)


でも父さんが下手に出過ぎて、お婆ちゃんの溜飲が下がってんなぁ〜……もう少し寸劇観たいのに……


……あっ、そうだ!



「父さん」


「ん?どうした?」


「あの話、お婆ちゃんにしなくて良いの?」


「ん?あの話ってなんだよ?」



俺が喋り出した瞬間、お婆ちゃんは超スピードで側へ駆け寄って来る……すげぇ、瞬間移動の領域だ。

そしてやって来たお婆ちゃんは優しい目をしながら擦り寄ってきた。



「孝志ちゃん!何かあるの〜?お婆ちゃんに教えて教えてっ♡」


父さんに対する態度とはドえらい違いだなぁ。

でも俺って可愛がられるべき存在だから仕方ない。



「まんじゅう食べる〜?」


「うん食べる〜」


「あ、それ俺が用意したやつ」(父さん)


「はい、あ〜ん」


「あ〜ん……お婆ちゃん美味しいっ!」


「ほんと!良かったわ〜!」


「孝志……お前誰やねんそれ?」(父さん)


お婆ちゃんには心配かけたみたいだし、お詫びに可愛い孫を演じてあげよう。

それと父さん……俺とお婆ちゃんのやり取りを変な目で観ないでくれ。お婆ちゃん、俺に対してはいつもこうだから。



「ところで孝志ちゃん、あの話ってなぁに?」


「ん?……いや大した事ないんだけど……父さん、この世界で奥さん作って子供も居るみたいだよ」


「あ、ちょ、おまっ」(父さん)


「え〜?子供〜………子供……?京子が居るのに……んん?………ドイウコト?」


突然の爆弾投下に唖然のタカユキ。

弘子は首をギギギと鈍く動かし……タカユキを睨む。


「寂しかったってさ」


ごめん父さん、やっぱりちょっと許せないんだ。

アリアンさんを産んだ恨み晴らさせて貰います。



──孝志にベタベタだった弘子は立ち上がり、娘の旦那の元へと向かう。



「おぉぉぉいいいいッッ!!!!!!一体どういう事だッッ!!!!あぁぁぁんんん??!!」


「いや……あの……元の世界には帰れないし」


「元の世界に帰れなかったら子供作るんかいッ!!」


「でも10年は一人でしたよっ!?」


「はぁぁんん!!?こちとら何百年も未婚で独り身なんだけどッッ!?」


「ご、ごめんなさい……!!」


ま、まさかこんなにブチ切れるとは……お婆ちゃんにとって不貞は許せない事なんだな……

向こうじゃ父さん死んでるし、不貞にならないと思うけど……可哀想だしちょっと助け舟出すか。


俺もちょっと悪ノリし過ぎたところある……だってお婆ちゃんや父さんと出逢えて嬉しかったんだもん。



「お婆ちゃん……怖いよ」


「孝志ちゃんごめんね……でも浮気は許せないの!」


「いやでも、向こうだと父さん死んでる事になってるし、仕方ないんじゃない?」


「仕方なくないわよっ!わたしは複数の女性と関係持つのは許せないタチなのよっ!」


「フェミニストみたいなこと言ってるじゃん」


「フェミニスト……?まぁそれは分からないけど、孝志ちゃんだって京子が居るのに新しいお母さん出来てたら嫌でしょ?」


「まぁ嫌ですね」


「でしょ!?それに孝志ちゃんは複数の女性と関係持てる?」


「いやあり得ないっすね!やっぱり愛する女性は一人だけっすよ!」


ごめん父さん……これ無理。なんか400年も独り身だから拗らせちゃってるみたい。



「そうでしょ!!??──つーことでジジイ、あんた表出なさいっ!」


「……くっ!孝志!!一生恨むからなっ!!」


お婆ちゃんは父さんを連れ、裏口から出て行ってしまった。表に出ろって言ってたのに裏から出るのね。



「………」


凄い罪悪感だ。でも可愛い息子のやる事だから大目に見て欲しい。



「……まんじゅうマジで美味いな」


──二人が居なくなった部屋で俺はまんじゅうを頬張りながらお茶を啜る。


「渋い」


……父さんのお茶まずいよ。

それに甘いコーヒーが飲みたかった……でもお婆ちゃんに出したお茶だから文句言えんか。



「自分で淹れるか」


部屋の中にコーヒーメーカーがあったので、それを使い自分好みのコーヒーを作ろうとした。



「タカユキ殿ッ!!」


そんな時、オーティスさんが血相を変えて部屋の中に入って来た。バタンッと扉を開け放つ音が鳴り響く。



「どうしました?」


「──む?……孝志………タカユキ殿は何方へ?」


「お婆ちゃんに締められてるよ」


「………どうしてだ?」


「異世界でお父さんが別の女との間に子供作ったって告げ口したから」


「………どうしてそんな話したのだ?………孝志……そなた偶に恐ろしくバカであるな」


「なぁ?我も言うとるじゃろ?松本孝志はバカなのじゃ。バカの化身なのじゃっ!」


「なんなの二人して?」


オーティスさんの後ろに居たフェイルノートまで馬鹿にしてくる。

ふざけやがってコイツら……俺に力が有れば復讐してやるのに……クソッ!

もしドラ○ンボ○ルが手に入ったらコイツらへの復讐の為に願いを使ってやる。



「てか急ぎの用事があるんでしょ?俺父さんの可愛い息子だから何とかしてやりますよっ!」


胸を叩いて自分自身を売り込む。

オーティスは額に指を当てて考えたが、取り敢えず事情だけは説明する事にした。


「………それが……聖王国の使者なのだが、お前に用事があるらしい」


「え?じゃあ尚更俺が行くべきじゃないですか?」


「それが殺伐とした空気なのだ……お前が出て行けば揉め事になりそうだ」


「我もそう思うのじゃ。お前アホじゃからのう」


「………」


なんだコイツらさっきから?

もしかして俺のことトラブルメーカーだと思ってる?

初対面相手には凄く好対応だぜ、俺。

あとフェイルノートお前絶対に許さないからなっ!



「オーティスさん……クソウンコのじゃ女……安心して下さい。自分の客は自分で対応しますよ」


「不安しかないのだが?」


「まだのじゃ女いうか!……え?クソウンコ?」



──オーティスは悩んだが、タカユキ達の帰って来る気配がないので仕方なく孝志を連れて行く事にした。




───────────



「お待たせしました」


「あ、息子さん!……師匠はどうされました!?」


応接間へ着くと父さんの弟子が客の対応をしていた。


客人は二人。

白いローブを着込んだ身長の高い女性と、水色の髪で白い鎧を着た幼い少女だ。

俺が入って来ると二人はこっちに目を向けた……敵意というか……なんか俺に対して良い印象が無さそう。



「あの……お父様も呼んだ方が良いですよっ!……というよりオーティス様は師匠を呼びに行ったんじゃ無かったですか?!」


弟子さんは俺ではなく護衛のオーティスさんに詰め寄った。得体の知れない客人が俺におかしな事をしないか心配してくれているのだろう。


だが心配しなくてもオーティスさんとフェイルノートが護衛に居るから大丈夫だと思うぞ?

この二人を同時に相手して勝てる人間はそうそう居ないんだよ。本当に頼りになる二人だ……まぁいつか復讐してやるけど。



「………オーティスさん」


「……ああ」


俺たちの言い合いが終わるまで待てないらしい。

客人は腰掛けていたソファーから立ち上がり此方へ歩いて来る。

それに気付いた父さんの弟子は後ろに下がり、オーティスさんとフェイルノートは俺の前に立った。



「初めまして……ミスタータカシ」


「…………」


「どうも、私が孝志です……宜しくお願いします」


挨拶をしてきたのは……背の高い女の人だけか。

ちっちゃい子は無言でコッチ見てるだけ……礼儀がなってないクソガキだぜ。


……というか名前を教えろよ。



「差し支えなければ、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」


「──いや失礼。そう言えば名乗りがまだでしたね。私はアイギス、この子はアーサーと言います」


「ご丁寧にありがとうございます」


(うむ……!孝志……やるな!)

(おお!!まるで別人なのじゃ!!こやつめ、やる時はやるヤツじゃのう!!)


接客する姿を見てオーティスとフェイルノートは孝志を見直した。

フェイルノートは振り返り親指を立てたが、それを見て孝志は心の中で『死ね』と呟いた。



「──それでは本題に入りましょう」


「はい、是非お願いします」


「……何故ですか?」


「はい?何故とは?」


「いえ、何故──




──アーサーに殺させたのに、貴方は何故まだ生きてるのですか?」







時間は8月7日に投稿します!!


宜しくお願いします!!

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