幻想ミッドウェー戦記 胎動編 その1
いよいよ物語が始まります!
幻想ミッドウェー戦記 胎動編 その1
昭和17年6月5日 場所はミッドウェー島付近の近海。
日本海軍が誇る第1機動部隊精鋭4隻の空母の内、蒼龍、加賀は既に沈み。
赤城は大破炎上している。
最後まで1隻で奮戦していた飛竜も遂に最後の時が訪れた。
既に日は傾きかけていた。
エンタープライズ、ホーネットより放たれた爆撃隊の攻撃で5発の直撃弾と数発の至近弾を受け飛竜も遂に炎上した。
暫く懸命な消化活動が行われたが万策尽き、生き残っていた乗員には総員退艦が命じれれた。
赤城も自沈する為駆逐艦が魚雷で始末する。
飛竜にも数本の魚雷が駆逐艦から発射される。
第2航空戦隊司令官山口多聞も艦長の加来大佐と共に自分の身体をロープで艦橋の椅子に固定する、彼ら両名は敗戦の責を取る為、艦と運命を共にする。
山口多聞は加来艦長に一言、無念だ。これでこの大戦の帰趨も定まってしまった。
第1機動部隊の主力空母4隻とベテランパイロットの多くを失い日本はこのまま敗戦への道を進むだろう。
加来艦長は山口の一番弟子だ、蒼龍の柳本大佐と共によく山口を支えていた。
加来も一言、残念です。今更言い訳になりますが、南雲長官が山口司令の提言を受け入れていれば・・・
そうだな、今となっては過ぎたるは及ばざるがごとしだな。
山口も自分が司令官であれば今回の敗戦は無かったと思っていた。
第1機動部隊の南雲長官は水雷戦隊の出身で、機動部隊の実戦や航空戦の機微等を理解していない。
其れが出来るのは基地航空隊の司令を務めた山口や大西などの一部の将官だけである。
加来大佐も生き残っていれば優れた指揮官に成長したであろう。
其れ故に、山口も無念であった。
艦橋にも水が流れ込み、山口らは太平洋の深い海に吸い込まれていった。
日本海軍は初めてこの大戦で敗れた。それも取り返しのつかない大敗である。
これで第2次大戦の帰趨は決まったと言って良いだろう。
これ以降日本海軍は一度も攻勢に出れずにアメリカの物量に押されて敗戦への道をひた進むことになる。
ミッドウェー海戦での日本の敗戦がこの戦争を決定づけたと言って良いだろう。
山口は消え去ろうとする意識の中で語りかけて来る美しい女性の声を聴いた。
山口多聞よ、それ程無念ならば、もう一度やり直せば良いでは?
我がその機会を与えましょう!さて如何しますか?
何を今更、もう全て終わったのだ!やり直しなど出来るはずがない!
そのような事はありません!
お前が望めば再戦の機会を与えてやっても良いのですよ。
お前は悪魔か怪異の類か!静かに死なせてくれ。
何を言うのです!我はお前たちから見れば女神と言って良いでしょう。
如何しますか?このまま敗者として再挑戦もせずに惨めに死んでいくのですか?
其れとも再戦して日本帝国に勝利を齎すのでしょうか?
早く決めなさい!お前の命は間もなく尽きますよ!
この無念を晴らせるならば、再戦したい!
このままでは死んでも死にきれない!
わかりました!女神様再戦の機会を与えて下さい!
判りました!転送せよ!
山口多聞と加来艦長は少し大きめの部屋に転送されベッドに寝かされてた。
目の前に立つ、金ぴかな衣装に包まれた女性が静かにハイヒールと唱える。
両名は光に包まれ、体が再生する。
しばらくすると意識が少しづつ戻ってくる。何が起こった!?
両名は分けわからず、起き上がって、事態を把握しようとする。
すると医者のような白衣を着た男性が、もう少し横になっていた方が良い。
蘇生したばかりなので、ゆっくり休みなさい。
白衣の男性はウーノと名乗った。
彼が両手を広げ、スリープと唱えると両名は深い眠りに陥る。
これからの二人の活躍に期待しましょう!
胎動編5部は幻想シリーズの始まりの物語です。
これ以降第2部インド洋攻略編が始まります。




