幻想ミッドウェー戦記 第2章 ハワイ攻略編ーその9
アメリカではハワイを失い、両洋艦隊の主力部隊も日本海軍にせん滅されてしまった。
アメリカの西海岸を守るのは陸軍と陸軍航空隊しかない。
守り切れるのか!市民からの突き上げは強い!
新たに就任したトルーマン大統領もその件で日夜頭を悩ましていた。
高官の中には日本との講和をという意見も多くなり、政局も混乱していた。
幻想ミッドウェー戦記 第2章 ハワイ攻略編ーその9
昭和18年6月1日
ハワイ諸島は遂に陥落し、第3攻略・護衛部隊を守備に残し、主力艦隊は日本に帰還した。
休息充分の第2艦隊と第2機動部隊は新鋭艦を加えた訓練の為トラック諸島に向かった。
第11機動部隊は第8艦隊を加えて訓練の為シンガポールへ進出する。
暫くはハワイ方面で基地建設や部隊の配備等に追われることになる。
昨年の8月以降から昭和12年~14年から建造されていた大型艦が次々と竣工していた。
呉に来た連合艦隊司令長官古賀大将も完成した連合艦隊の新鋭艦を眺めて満足していた。
隣にいる参謀長の山口多聞中将も感慨深げにそれらを眺めている。
次の旗艦となる紀伊級高速戦艦の1番艦紀伊がその威容を靡かせていた。
長官これでアメリカのモンタナ級戦艦にも対抗できます!
基準排水量8万5千トン 常備排水量10万7千トン 35ノット 50センンチ砲3連装4基を持つ強力な戦艦が目の前にある。(ドイツのH級戦艦に対抗するべく50センチ砲を搭載している)
その後方には同型艦の尾張、駿河、近江が並んでいた。これらは40センチ砲3連装4基搭載の5万トン戦艦と公表されていた。
少し離れて、別の埠頭には46センチ3連装4基を有する伊吹級巡洋戦艦4隻、伊吹、穂高、要諦、磐梯が強大な勇姿を同じく靡かせていた。
これらも公表では36センチ3連装4基搭載の4万トン巡洋戦艦とされている。
基準排水量6万4千トン 常備排水量7万8千トン 15センチ両用砲3連装2基 10センチ連装高角砲24基 40ミリ聖級4連装機銃48基 その他・・・
これでアメリカにも十分対抗できるな参謀長!
御意!二人は8隻の強大な戦艦を眺めて時を経つのも忘れていた。
2年後には紀伊級を改良強化した54センチ砲3連装4基を持つ飛騨級戦艦が4隻完成する。超戦艦としか言いようがない飛騨・越前・出羽・常陸の4隻である。
同じく2年後には伊吹級巡洋戦艦を改良した鞍馬級巡洋戦艦も4隻が完成する。鞍馬・開聞・吉野・恵那の4隻であり、これも50センチ砲3連装4基を持つ超戦艦だ!
これら16隻は新たな強敵となるナチスドイツ海軍を視野に入れていた。
3月には既に新たに完成した艦艇を編成し、それらを戦力化して配備する準備に入っていた。
7月には新編成表が発表されるだろう。海軍と空軍は艦艇及び航空機の整備と人員異動でてんてこ舞いであった。
昨年10月より改赤城級の妙城、葛城、改翔鶴級の英鶴、宝鶴が完成し第1・2機動部隊を構成することになる。
これに伴い教官となるS・A級パイロットの内A級2千名とS級1千名が内地の九州南部で訓練勤務に就く、主力となるB・C級パイロット8千名が訓練を受ける。
第1機動部隊は小笠原基地に第2機動部隊は沖縄基地に展開していた。人目を避ける秘密裏に訓練を行わなければならない。
飛竜以下の第2航空戦隊も大竜、海竜の同型艦を加え、第3機動部隊第5・6航空戦隊を編成する。同様にトラック諸島に教官らが配置されていた。
飛鷹・隼鷹は準同型艦の雲鷹、海鷹を加え第11機動部隊第21・22航空戦隊を編成する。シンガポールにて教官が同様に配置されていた。
第1・2機動部隊は元よりベテラン揃いであり、充分な予備隊員も配置されていた。前世と違いパイロットは10倍以上に増加していたのだ。
攻略部隊の軽空母部隊は第100・101攻略部隊を構成するが第100・101護衛部隊と改名して、対外的には小さな戦力と認識させた。
アメリカ軍は太西洋で船団護衛に従事しているレンジャー以外の正規空母は全滅してしまった。後軽空母4隻護衛空母8隻が船団護衛部隊の航空戦力である。
現在建造中のエセックス級大型空母は早くとも完成が来年の8月から順次完成していく、フランクリンが10月、ヨークタウンⅡが12月と完成する予定だ。
軽空母も来年の4月以降から2月に1隻ずつのペースで竣工する予定だ。それらを戦力化するには再来年の春位になるだろう。
わが軍もそれに備えて行動する。敵の再来年の4~6月時点での空母戦力はエセックス級4~6隻インデペンデンス級軽空母6~8隻だろう。
6月に戦力化されているとすればエセックス級6隻インデペンデンス級軽空母8隻カルニア級護衛空母20隻程と予測される。
エセックス級6隻で約600機、軽空母8隻で凡そ400機余り 護衛空母20隻で300機総計で1300機位になる。
1個護衛部隊が約600機を保有しているので、2個護衛隊で1200機とほぼ互角である。
ただアメリカ軍は戦艦建造を優先した為大型空母の建造は大分遅れることになる。
主力の第3機動部隊は飛竜級空母4隻で320機、直掩空母千歳級4隻160機で計480機
第11機動部隊は飛鷹級4隻で304機、直掩空母4隻で160機、計464機
こちらも合わせれば924機と練度が全然違うのでほぼ互角だ。
赤城級4隻と翔鶴級4隻はジェット機搭載の為の改装工事と斜型甲板追加とパイロット達のジェット用の特殊訓練でほぼ1~2年は出てこれない。
これらもジェット機400機と直掩機240機で計640機が2個部隊で1280機
普通の艦載機なら512機と直掩機240機で計800余機、総計1600機となる。
日本軍は6個機動部隊で6月に揃うアメリカ海軍の約3倍の航空戦力となる。
日本海軍もそれまでに2個護衛隊と飛竜級を大型化した紅龍級4隻と飛鷹級の高速化と防御力を強化した白鷹級4隻が加わる。
これだけで2400機の戦力となり、とてもアメリカ軍は日本軍の強化についていけない、戦力差は広がるばかりだ。
ドックと造船所の数はアジアの同盟国を加えればアメリカの1,5倍に達していたのだった。
一方アメリカ軍は最精鋭の戦艦部隊が壊滅したため、40センチ砲3連装3基を持つ4万トンのアイオワ級戦艦8隻の建造が優先して行われていた。
更に46センチ砲を持つモンタナ級6万トン重戦艦8隻も建造されることになった。
アメリカと言えど戦艦の建造には多額の予算と人員と時間が必要であり、国力を多大に消耗することになり、この為空母や軽空母の建造はやや遅れていく事になる。
日本海軍は新たなる超戦艦紀伊級、伊吹級戦艦が竣工した。これらはこれから強化されるナチスドイツに対抗する戦力でもある。
ドイツは既に数年前からヨーロッパを占領し、その戦力は時間の経過と共に強化されていて、是に対抗するアメリカは既に戦力を失っていた。
イギリスも青息吐息であり、日本も裏工作でイギリスと密約を結びつつあった。




