幻想ミッドウェー戦記 第1章 開戦編ーその10
この時ハワイは陥落寸前であり、カウアイ島は日本軍に占領され日本軍の前進基地になっていた。
ハワイが陥落すればその責任を追及され次の選挙で勝てなくなる!ルーズベルト大統領は次の選挙に勝つためにハワイ救援軍の拙速なる出撃を命じる!
幻想ミッドウェー戦記 第1章 開戦編ーその10
1943年1月下旬
アメリカ海軍は西海岸のサンディエゴに新たに完成した新鋭艦を含む艦隊を集結させ、危機に陥っているハワイを救援せんとしていた。
ただ訓練不足ですぐには動けない状態だ。乗組員はほぼ新兵であり、基本から叩き込まねばならない。本来なら1年ぐらいの時間が必要であった。
太平洋艦隊とイギリスへの船団護衛に人員を取られたため、大西洋艦隊は人員不足に陥っていたのだ。更に新鋭艦が完成しその度合いは更に酷くなっていた。
しかも、日本の潜水艦隊と軽空母の先行部隊にハワイへの輸送船団は数度に渡り壊滅的な損害を受け、ほぼ1隻残らずの全滅であり、日本軍の攻撃も徹底していた。
これで太平洋艦隊に残っていた船団護衛部隊もほぼ壊滅し、補充の人員はすべて新兵となる。
特にタンカーが狙い撃ちされたので、航空機燃料の在庫が底を尽き、基地航空隊は反撃できず地上で全滅した。
既に7島における基地施設、空港施設、軍事施設、港湾施設の大半は破壊され、陸軍の2個師団も戦力は半数以下に打ち減らされ、ハワイは陥落寸前であった。
既にカウアイ島には日本軍の第17海兵旅団1万名が上陸してほぼ全島を占領し、施設の復旧と、陣地の構築に当たっていた。
アメリカも西海岸にある陸軍部隊を送りたいのであるが、護衛する主力艦隊の訓練が最低でも3か月は必要である。
普段なら半年の準備期間が必要なのだが大統領は最低の3か月で出撃を命じ、是が更なる悲劇を生むことになる。
アメリカの海軍省も何とかイギリスへの護衛船団部隊よりベテランを引き抜いて、ハワイ救援軍に人員を再配置して戦力の向上に努めたが、それにも限界はある。
猛訓練は続けられ、少しづつだが艦隊の練度も向上していった。飽く迄少しづつである。やはり太平洋艦隊が全滅した穴埋めは容易ではなかった。
残っていた船団護衛部隊もそれ以降ハワイへの物資輸送で多くの人員が失われてしまい、太平洋艦隊はほぼ事実上消滅してしまう。
この為大西洋艦隊の主力部隊が新たに編兵され西海岸のサンディゴ基地に集結したのだった。
4月上旬
リー中将に率いられたハワイ救援部隊 戦艦8隻隻重巡洋艦4隻軽巡洋艦6隻駆逐艦24隻護衛艦12隻護衛空母4隻の前衛艦隊が出撃する。
護衛空母4隻は後方100カイリから軽巡2隻護衛艦12隻に守られ後続していた。
200カイリ後方にはキンケイド中将率いる主力の機動部隊空母3軽空母4隻重巡洋艦3隻軽巡洋艦5隻駆逐艦24隻が後続する。
300カイリ遅れて輸送船団150余隻と4個師団の陸軍部隊はクラーク少将に率いられ護衛空母4隻軽巡洋艦4隻駆逐艦24隻護衛艦18隻の護衛部隊と進んでいた。
空母は東海岸より正規空母ワスプと軽空母サンジャンストンとモンテレーが追加で送られてきていた。
航空戦力的には充分なものであるが、中身はお粗末であり、ホーネットとヨークタウン、軽空母4隻は新造艦で乗員は新兵が殆どであった。
少数ながらもワスプとレンジャーの2空母より派遣されたベテランとは言い難いが慣れた者達が新人を教育していた。
カタパルト無しで空母より発進できるパイロットは全体の60%で、着艦できるものはさらに少なく30%ぐらいだった。
パイロット達は現在でも移動中にもかかわらず訓練中だ。せめて着艦できないと攻撃後に空母に帰れない。後3か月の時間が欲しかった。
戦争とは悲惨なものです。今までのアメリカは孤立主義で世界の警察として介入する事も無い国でした。
それが今回の戦争開始と共におかしく成り、現在でも世界の警察として各地に機動部隊を派遣しています。
この変化は異常です。筆者はこれを一人の大統領の策謀と断定します。




