幻想ミッドウェー戦記 第1章 開戦編ーその7
既に敵の先鋒たるハルゼー中将率いる機動部隊は壊滅した。残るはキンメル大将率いるアメリカ太平洋艦隊の主力部隊だ!
宇垣中条率いる第1艦隊が如何に戦うか?前世では起きなかった究極の戦艦対戦艦の戦いが始まる!
幻想ミッドウェー戦記 第1章 開戦編ーその7
キンメルの部隊も無線封鎖をしているので、ハルゼーの機動部隊が全滅していたなどと夢にも思っていなかった。
キンメル部隊は11:00ウエーク島まで500カイリの地点に達し偵察機を飛ばしつつ、ハルゼーの部隊と交信を試みるが電波障害が激しく連絡は取れない。
キンメルは通信長を呼び、連絡が取れんか?と尋ねるが、通信長は残念ながら妨害波が強くて、と天候の加減かかもと話していた。
実際は数機の新雲偵察機が妨害波をアメリカの無線の波長に流していた。
13:00シーホーク偵察機が200カイリ先に日本艦隊を発見した。既にアメリカ艦隊は逆信でレーダー波を捉えられ、数箇所からの探知後の分析で、位置は判明していた。
大分離れて新雲が数機常時見張っていたのだ。
土佐以下戦艦8隻生駒級重巡洋艦4隻が単純陣で進み、水雷戦隊が両翼で展開している。
左翼に展開する第5水雷戦隊長良6001と6002以下特型駆逐艦7001~7016が敵水雷戦隊を補足し攻撃態勢に入っていた。
右翼でも長良6003と6004率いる第6水雷戦隊が交戦を開始していた。
日本軍の98式50口径酸素魚雷は射程3キロ、最大速度50ノットで進む。通常は40ノットで4キロに調整していた
53センチ魚雷より軽量化されているが、炸薬量は250キロで、火薬が高性能化され爆発力は50%上昇しているので少し強化された。
アメリカやイギリス軍の魚雷の射程はは7000から8000メートル位で魚雷に対する考え方の違いもある。
ただ日本軍の酸素魚雷は戦況を変える威力があるもので、従来の日本軍も察知していたが、実戦で有効に使われていなかった。
日本の水雷戦隊は対艦レーダーの有効活用と月月火水木金金の猛訓練で、命中率を従来の10%ほどから20~30%と開戦前に驚異的に上昇させたのだった。
イギリスとオランダとの開戦以降は実戦も踏まえ、更に命中率は上がり、どの水雷戦隊でもほぼ40%近い数字が出ていた。
魚雷を直接標的に命中させることで信管の感度を徹底的に検証していて、命中率の高さを確立させ、この戦争ではロングランスという悪魔の兵器として恐れられる。
第5水雷戦隊は距離2万メートルで命中率凡そ40%ある。第5水雷戦隊は18隻それぞれが50センチ5連装魚雷発射管を2基持つ。更に2回打てる次発装置がある。
第一斉射で3列となる180本の魚雷が軽巡1隻駆逐艦12隻の右翼にある敵の第1水雷戦隊へ進んで行く。
180本の魚雷は命中率40%(実際は50%ぐらいある)で72本が命中する計算になり、13隻当たり1艦約6本が命中する。
1発でも当たれば駆逐艦や軽巡洋艦は轟沈する可能性が高い酸素魚雷だ!6本も当たれば何も残らない。アメリカの第1水雷戦隊がいた場所には小さな炎が漂っていた。
左翼でも同様でアメリカの第2水雷戦隊は消滅していた。
このまま戦艦部隊もせん滅できるが、ここは土佐に乗る宇垣中将に花を持たせる。
現在は宇宙艦隊も建設されているので国内にある小型艦艇を中心に数字表記となっていた。
1-戦艦
2-巡洋戦艦・大型巡洋艦
3-正規空母
4-軽空母・護衛空母
5-重巡洋艦
6-軽巡洋艦
7-駆逐艦
8-護衛艦・護衛艇
9-潜水艦
10-輸送船・タンカー等
11-高速輸送船・タンカー
12-特殊艦艇・補給艦・病院船
長良6001は6番台が軽巡洋艦を表し、其の1番艦という意味がある。
長良級軽巡洋艦 第1次改装後のデーター
基準排水量5500トン、満載排水量6250トン 最高速力35ノット、航続力14ノットで6000カイリ 15センチ両用砲連装2基(前部)長10センチ連装高角砲2基(後部)40ミリ聖級4連装機銃6基 50センチ5連装魚雷発射管2基 爆雷投射機2基 爆雷48個 3式水中翼2基 水上機2機 同型艦6隻
量産型特型駆逐艦
1600トン 35ノット 3000カイリ 12,5センチ両用砲連装2基(前部)長10センチ連装高角砲1基 40ミリ聖級4連装機銃4基 50センチ5連装魚雷発射管2基 爆雷投射機2基 爆雷24個
同型艦48隻(就役中)建造中48隻予定中96隻
量産型は工場でブロック建造され、各地に作られた1万トンドックで電気溶接で完成する。完成までほぼ半年で月当たり10隻が量産されていた。
敵の水雷戦隊を瞬殺した日本の第5・6水雷戦隊は魚雷を再充填し攻撃態勢を整える。これで戦艦部隊も撃滅できるが、ここは戦艦対戦艦の戦いが見ものだ。水雷戦隊は接近する敵の潜水艦を狩っていく。
第2攻略部隊・護衛隊を含めてここ数日で30隻近い潜水艦を撃沈していた。ハワイより出撃した33隻の大半は海の藻屑と化していたのだ彼らはウェーク島付近の偵察と敵艦隊の動向を調べていた。
残る5隻はキンメル部隊の後方にあって援護していた。




