17.回想R2
――夢を見ている。彼は今、遠いいつかの夢を見ている。目を覚ませば忘れてしまう、遠い日の夢。
そこには、一人の少年がいた。
「赫狩、赫狩。愛しい愛しい我の赫狩」
その少年の耳に、声が聞こえた。声の主は女性であるようだった。
声には少年への確かな愛情が込められており、幼い彼を慈しむ優しさに満ちていた。あるいは、聖母すら思わせるほどに。
幼い――まだ、齢十歳にも届いていないだろう。背丈もまだ低く、まだ子供だった頃のカガリがそこにいた。
「ねえ赫狩、才能とは果たして何だと思いますか?」
女の声は近くから、あるいは遠くから感じられた。……感じられるだけだ。少年の視点からは、女の姿はどこにも見えない。
ここはどこなのだろうか。カガリの周囲は真っ暗闇で、女の声以外はすべてが静寂。不気味な静けさを保つ闇の中で、女の声だけが強い音として響いている。
いや、そもそも周囲というものがあるのかすら不明瞭な空間だった。距離という当たり前の概念すら不確かであいまい。先が見えないからという理由で周囲が感じられないだけだと、そう錯覚しているだけなのではないかという疑問すら思い浮かばないほどに、ここは不気味な場所だった。
――才能。生まれ持った天賦のもの。
「才能なんて低次元な生息域に住んでいない我々はともかくとして……ほら、屑虫というものは、才能……とやらに拘るのでしょう? それがあるかないかで、どれだけ進化できるか決まるとかなんとか……」
それを、あなたはどう思うのか――女はカガリにそれを問うている。
愚問である。カガリは答えた。
その答えを聞いて満足したのか、女の顔はさらに晴れやかさを増していく。相変わらず暗い空間なので、それが見えたわけではないのだが。
「さすが我の赫狩です。ええ、ええ、あなたはそうでなくてはいけません」
これは女から幼いカガリへのアドバイス。彼女は直接、彼を鍛えるようなことはしない。それでは意味がない、カガリの強さに不純物が混ざってしまう。
女が行うのは彼へアドバイスを送ること。そして彼女の魔術を以って、最高の環境を整えることだ。できるならそれすらしたくはないが、仕方ない。カガリが普通であれば良かったのだが、現実は残酷だ。
そしてこれは自分にも責任がある。ならばこれくらいのことは、カガリにとっても女にとっても許容の範囲内。
バランスは取らねばならないだろう。何事においても、天秤が左右揃うことは重要なことなのだから。
「ふふふ。屑虫というものはつくづくおかしな生き物ですよね。努力とか、才能とか、いちいちそんなものを気にしなければ強くもなれないなんて。もっと、あの人を見習えばいいのに」
かつて出会った、あの人物はそうだった。己が無才であることを自覚しながら、だとしても前へ進むことを諦めなかった傑人。
そうでなくては。それくらいでなくてはいけない。不完全な五体生物、せめてそれくらいでなくては一歩も前に進めまい。
「まあどちらにせよ、努力なんて無駄な行程を経なければならない時点で、無駄な時間過ごしてるな~って感じなんですけどね? ほんと、わけがわかりません。才能とか、努力とか、そんなことを言いだす前に、自力で進化してしまえばいいのに」
女がわけのわからないことを言っている。人間には理解できない言葉を吐いている。
霊長目霊長類超越種――彼女の言っていることは、常人には欠片も理解ができないだろう。
彼女もまた、そのことをいちいち説明する気もない。
「ああ、だから愛しい赫狩、あなたはとっても愛しいのですけれど、そこだけが残念です。あなたも努力しなければ強くなれない人類種……ああ、なんてこと、くだらない低次元にあなたを住まわせるしかないなんて」
現行人類すべてを平然と見下しながら、彼女はカガリの現状だけを嘆いている。彼女の言葉を聞けば、必死に足掻いて自分の強さを磨き続けている者たちからすれば憤激ものであることに間違いはないだろう。
だが恐ろしいのは、彼女の精神に一切の悪意がないことだ。これは、ヒトの形をしながらヒトの上に立つという歪さが生んだ光景。悪意のない悪意という矛盾。
巨人の視点から見れば、蟻も人も変わらないという次元差がそこにはあった。
「正々堂々真正面から、騎士道精神武士道覚悟、汚い勝ちじゃ意味がない。愛する者に誇れるように、闇へと堕ちないそのために、納得できる勝ち方を?
不意打ち闇打ち、卑怯上等、泥だらけと罵られても、大事な人を守れるならば、最後に残るためならば、どんな手段でも勝てばいい?」
小さい。あまりにも、小さい。
「く、だ、ら、な、い。違います違います、そうじゃない、そうじゃないんですよ。誰も彼も履き違えている。美しくありません、綺麗じゃありません、力とはそうじゃありません。……ネメアクレスなら、こういったこともわかってくれていたんですけどねえ……」
誰も理解していない。だから彼女は人間を見下しているのだ。
力の意味を、何も理解していないから。
「例えば、です。例えば、ヒトの集落に巨人族が攻めてきたとしましょう。天まで届く大きな種族です。ヒトはこの巨人と戦わなければなりません。……はい、巨人が足を振っただけで人間は負けましたね」
では問題だ。これを聞いた者は、この戦いをどう思うか?
「これ、真正面から戦ってるから正々堂々対等ですか? ――――違いますよね。巨人とヒトの条件が違いすぎます。
じゃ、巨人は大きすぎるから、まともじゃないから卑怯千万悪質ですか? ――――違いますよね。単に巨人は足を動かしただけなんですから。
……我の言ってる意味、わかりますか? 赫狩」
力の意味とは、そこを理解するところから始まる。
「要するに、です。要はステージの問題なんですよ。我々のように在れとはいいませんが、それでもやりようは……あー……なんて言っていいか迷いますね。でも、ふふ、楽しいです。我、もしかして先生に向いてます?」
いや。どう見たって向いていない。
「えーっと。ニンゲンのスケールに話を合わせると……そうですね。例えば、です。例えば、目の前に剣を持つヒトがいるとしましょう。刃物、怖いですね。ですが例えば、向けられている側のヒトがもし、鉄より硬い体を持っているとしたらどうでしょうか。前から刃物と戦っても、後ろから急に襲われても、鉄より硬ければどうでしょうか?」
答えは簡単。刺さらない。
「勝負の前提を台無しにする。簡単に言えば、それが力というものなのです」
おかしい話だろうか。いや、何もおかしくなどはない。
例えば、地形を利用して、戦いやすい自陣に敵を引き込んで嵌め殺すのが地形戦だが……なぜそんなことをする必要があるのか? 地形ごと吹き飛ばしてしまえばいいではないか。という風に。
相手の土俵で戦う必要はない。むしろ、自分の土俵で相手の土俵ごと押しつぶしてしまうような。
「極論――核で傷一つ負わない体と、核以上の拳を持っていれば、その人は世界の王様になれるでしょう?」
もっともこれは魔術を関係させない前提での話だが……だがとにかく、女の言う強さを一言で表すと、こうなるのだろうか。
ただ、そこに居るだけで勝つ。
つまり、目指すべきはそういう存在であるべきだと女は言っているのだが……そもそも、その言葉自体の大前提から狂っている。
人は、そもそもそんなに強い生き物ではない。
例外はあるとしても、たいていの人間は脆い生き物だ。
魔力を用いぬ純粋な、生命としての頑強さで見ても人間より頑丈な動物はそれこそ何種類もいるだろう。だが、そんなことは関係ないと女は言う。
自力で進化した超越種にとって、どうしてそこまで強く在れないのか、人はどうしてそんなに弱いのかというのは理解に苦しむことだから。
種族としての違いが、常識の差が、彼女の言葉をどこかちぐはぐなものにしていた。
「……ああ、まあ、仕方ありません。ニンゲンはニンゲン、我々は我々です。そこに飛べない溝がある以上、どうしたって価値観に差異が出ちゃうんですよね。ええ」
わからないが、わからないなりに女も理解しようとしている。それがあなたのためならば。
カガリのためなら、人間の思考域まで自分を落としても構わない。
そして次に彼女は、カガリにこんな忠告をした。
「ああ、正々堂々といえば、赫狩。あなたは"正義の味方"にだけは成ってはいけませんよ」
彼女はカガリのあらゆる選択を祝福するが、それだけは認めることができない。
「なぜ善と比べて悪が強いのかわかりますか? ああ、もちろん屑虫レベルの話ですよ。簡単です。正義に比べて、悪は条件が緩いからです」
悪になるのは簡単だ。手に刃物を持って誰かを殺せばそれは悪だし、何らかの店から物を盗んでもそれは悪だろう。
だが正義は違う。
正義は条件が難しく、敗北することすら許されない過酷なもの。ゆえに質は高いが、どう足掻いたって悪に後れを取ってしまう、ゆえに、悪は強いのだ。
だが、それ以前に。
「そもそも正義の味方というのは軽々しく名乗っていい称号じゃないんですよ。ええ、最近はみんながみんなヒーローだなんて戯言が出回ってますが、耳に入ってもすぐに忘れなさい。戯言ですから」
正義の味方という言葉に、彼女は唾を吐いている。
だがそれは、正義という言葉を軽く見ているからではなかった。むしろ、その逆。
「いえ、正義という精神はまあ、良いと思いますよ? ですが、正義には質が求められるのです。まあ、私は正義の味方でも何でもないので条件やら定義やらについては口にはしませんが……」
その概念をどこか特別視しているからこその言葉だった。
人のあらゆる属性について舐め腐っている彼女だが、どうやら正義という言葉に対してだけは何か思うことがあるらしい。
「まあ……あなたがそれでも目指したいというのなら引き留めはしませんが……そういうタイプでもないですし、無用の心配でしたね」
当然である。カガリはこの女ほど自然に傲慢ではないものの、それでも正義を志す人間性はしていない。
ゆえに女のその言葉は意味がなく。
「ふふっ。色々言ってきましたが、愛しい赫狩。それでも我は信じていますよ、赫狩。あなたは他の屑虫たちとは絶対に違うんだって」
うっとりと、愛を込めて。
「才能がなくたって大丈夫ですよね?」
信じている。
「努力するしかなくても、大丈夫ですよね?」
しんじている。
「あなたは有象無象なんかじゃない」
シンジテ、イル。
女はカガリを信じている。どこまでもどこまでも、無条件に。
愛情をもって接しているために、彼女の信頼はとても甘い。
「あなたはきっと、いずれ、我々のステージにまで来てくれると……信じていますよ。だって、あなたは、我の愛しい赫狩なのだから」
それは妄信だった。身勝手な話だった。
人間を弱い弱いと見下しておきながら、同じ人間であるカガリには自分たちと同じような強さをいずれ得てくれると勝手に信じている。ただ唯一の愛情が、彼への贔屓を生んでいた。
およそ人間とはかけ離れた精神性を見せている彼女だが、カガリのこととなると途端に、螺子の外れた人間というレベルにまで心を零落させる。
いや、もしくはこれが素なのか。
カガリによって、あるいは自分でも気づいていなかった心の深奥を見せているのかもしれない。であれば、どれほどヒトを見下していても、彼女もまた人であるということなのだろうか。
「さあ、後は最後のアドバイスといきましょうか。ね、赫狩――」
にっこりと笑いながら、彼女が口を開いたその時。
――――ガッ……!!!!!
――音が、した。
――何かがぶつかり合う、音がした。
「……あらぁ?」
女が、カガリを後ろから襲っていた。
響いた音は、女の手をカガリが防御した音だ。一体どういうことなのか、女はカガリにだけは愛情を込めていたはずなのに、なぜ。
その手はまだ幼いカガリでも防げる程度の威力ではあったものの、それでも気づいてから防げるような速度で襲い掛かってはいない。
「……なぁんで、我が後ろにいるってわかったのかしらぁ? 音の出どころ、わからないようにしてたのになぁ」
崩れていく。優しい女の表情が、崩れていく。
「……あァ? あんた、自分で言ってたじゃねえか。どんな手を使っても勝てばいいなんて、本当に強ければそんなことしなくて済むってよ……要するに、今のこの俺レベルなら、そういう小せえ真似でも何でも使っていいぞ、ってそう言いてえんだよなァ?」
ここにきて、カガリは初めてこの空間で言葉を発した。いや、言葉を発することができるようになった。
背後からの強襲。それは不意打ちの王道だ。
それくらい防げないようでは、ここから先は生き残ってはいけないだろう。
ただ、それだけのことである。
「じゃあなんでぇ、我があなたを攻撃するってわかったの? 我、あなたに対してだけは優しい優しい言葉だけをかけていたのにな~」
「はッ、それも当たり前だろうが」
崩れる。崩れる。
女の表情は、もはや先ほどまでのにこにことした柔和な笑顔など浮かべていない。
内に秘めた悪意なき悪意さながらの、悪魔めいた女の顔がそこにある。
そんな女に対してしかし、カガリは堂々と言い放つ。
「あんたに強くなりたいと言ったのはこの俺だ。この俺が、強くなると言ったんだよ。――そんな俺が、どうしてテメエのアドバイスなんざいちいち真に受けなきゃならねえんだよクソが!!」
「んふ、んふふふふ……」
強くなると言ったのはカガリ。強くなるのもカガリだ。
それを横からあーだこーだと言われても、だからどうしたという話。才能がどうあれ、カガリは必ず強くなると誓っている。ゆえに彼女の言葉は不要のもの。
そして、彼女の言葉を、優しさを、ただ真に受けて、「ああなんて親切な人なんだろう。ありがたく教鞭を享受しよう」……なんて思えるようなら、その時点で落第だ。そんなカガリであったなら、この先に進む資格はない。女はただ安らかに、カガリにこの道を諦めさせていたことだろう。
「ええ、ええそうよ赫狩! 我の言葉なんて真に受けているようじゃあ駄目! すべて、すべてすべて戯言でしかない! 無視して軽視して蔑視して踏み躙りなさい! 言ったでしょう、言ったわよねえ。あなたの強さに不純物なんて必要ないって! 我の言葉なんて、あなたに必要ないのだから! あなたは、あなた自身の手で強くなるべきなのだから!」
ならば必ず、この女は必ず自分を攻撃するはずだ。絶対に、間違いなく。
そもそも、見え見えなのだ。何も見えない暗闇、どこから聞こえているかわからない音、強くなるためのアドバイスとやら――視点が違うために何の参考にもならないが――、そして彼女の悪意。ここまで揃っていて先を予測できないようでは、駄馬にも劣る鈍間だろう。
ゆえに、この攻撃をしのぐのはここから先への入試試験にすぎない。
女が用意すると言った、強くなるための、最高の環境への。
「んふふふふふはははは……」
「それに、なあ」
そして何よりも、やはりカガリはそれが許せない。
「この俺を、見下すな」
ゆえに、女の感情は決壊して――。
「――『黒銀迷宮階段』――」
――人間レベルに程度を落とした、彼女の魔術が起動する。――
――狂笑と共に。歓喜と共に。女の心が、津波となって。――
――世界が、変わる。――
「んふふ、んは、はは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」
魔導権能・発動開始。
根源術式・展開途上。
六大界観・構築完了。
「それえええぇぇェェェェェェェェェェェェ!!! それよ赫狩ぃぃぃぃぃぃぃ!!! その眼、その眼でいいの!! 何ものにも屈してはいけない、妥協しちゃダメ、それそれそれそれ、それでいいのよ我の赫狩ぃ!」
先ほどまでの女と、これは本当に同一人物なのか。
狂ったか、それとも壊れたのか。
否である。これこそが、本来の彼女。さっきまでの彼女は、ただ良き■を演じていたに過ぎない。
そこにいるのは、のちの未来で少年と一緒に家にやってきた正義の味方を笑顔で出迎えたような優しい顔など、一片たりとも残っていない。それも、やはり当然だ。あれもやはり、ただ良き■として演技をしていたに過ぎないのだから。
「ごめんね、ごめんね赫狩ぃ。屈辱だったよねえ、わかる、わかるわ赫狩。人に舐められるのって、本当に本当に不快なのよねえ。でも安心して、もうあなたを見下したりはしないわ。安心できたもの、あなたならきっと大丈夫だって、確信できたもの。頑張る頑張る努力する、積み重ねればいつか才能だって倒せちゃうんだ~! なんて言ってる糞屑虫なんて、ぶっちゃけはっきり言っちゃって馬鹿だな~~~! なんて風に思ってたけど、あなたを見てたら悪くないかもって思えるわよ赫狩ぃぃ。……ああ、でも一つ減点するなら……我の力量も測らずに受け止めようとしたのは失敗ね。腕が折れてたのかもしれないのよ? あなたはまだ、我にすら勝てないのだから……調子に乗っちゃ、駄目よ。いいえ、けれどこれからはどんどん乗るべきかしら。あなたがこれから強くなるために、その"心"はとても重要だものね! あは、あはははははははははははははははははははははははは!!」
そこにいるのは人間ではない。人間を超えた人間。ならば彼女は超人か、あるいは魔人の類いであるのか?
――違う。人を超えながら、未だ人の内にある者共とは一線を画する存在規格。そこにいるのは、人を超え、人でありながら人ならざる人類真。
……だが今は、そんなことは関係ない。彼女という存在がどうであろうと、今のカガリには関係がない。
重要なのは、カガリがこれからどう成長していくのか。カガリが何を見据え、何を目指し駆け抜けるのか。そこに尽きるのだから。
ゆえに女が何者だろうと、女の正体が何であろうと、それは些細な問題なのだ。
さあ強くなろう。勝つために、未だ見ぬ――のために。今の彼ではまだ勝てない。今の彼は、まだ雛のようなもの。空へ羽ばたくにはまだ足りず。
だから彼は、強くならなければいけないのだ。
「――では喝采ながら、第一の試練を始めましょう! 舞台は我の迷宮階段、そこに挑むは愛しい赫狩。人を象る六大界観――人類の先を行くモノとして、我が統べるは感情、精神、すなわち人の"心"なり! 『霊長女帝』の王冠かむりし≪六芒卿≫が一つ星! "独奏全土"アリア・オールランドの名のもとに、あなたの試練を受託したぁっ!!」
≪六芒卿≫。
すなわち、この世に現存する六名の魔王。
『霊長女帝』
『狂器天子』
『超獣君主』
『魔法使い』
『永遠妖姫』
『聖賢王座』
彼女こそは、魔王の一人『霊長女帝』。
ならば、彼女と彼は一体如何なる関係であるのか。
「さあ始めましょう、愛しい愛しい――――我の息子! 愛しい赫狩!!」
燃ゆる息子の眼差しを受け止めながら、母なる魔王が今試練の開催を告げた。