終章 六話 絶望を吹き飛ばす拳
「「ルオオオオオオオオォォ!」」
遂に現れた化け物。正面から対峙して勝つことは出来ないだろう。
けれど、現れた直後の今ならチャンスだ。直接犯人を叩く!
「・・!待て、アルム!」
橘さんの静止を振り切り、即座に間合いを詰める。
・・加減する余裕はない。全力で攻撃する!
犯人を攻撃範囲内に捉え、刀を振るった・・その時だった。
影の中から黒い物体が現れたかと思うと犯人を包み込んでいく。
私はそのまま謎の物体ごと斬り裂こうとするが弾き返されてしまう。
そして、お返しばかりに物体は形状を変え、私を後方に吹き飛ばす。
「アルム!」
問題ないと橘さんに手を振る。この程度なら戦闘に支障はない。
「はは・・ははは!」
物体の中から聞こえる犯人の笑い声・・その笑いは心のこもっていない、ただただ虚しいものだった。
「グルルォォ」
化け物が犯人をつかみ自身の上に乗せる。そして・・
「な⁉冗談だろ⁉」
犯人が化け物に埋まって・・いや、取り込まれていく。
「「ル、ル、ルアアアアアアアアア!」」
ボコボコと、不気味な音を立てながら形を変えていく化け物。
「・・ひどい」
醜いからではない・・とても悲しく見えたから出た言葉だった。
・・人と獣の部品を無造作に混ぜた姿をしたそれは、化け物以外の何物でもなかった。
「ル・・ルガアアアア‼」
化け物から生えてきた何本もの腕のようなものが私・・いや、橘さんへと襲いかかる!
「・・!風来の陣!」
自分に攻撃が向かっていることを即座に把握した橘さんは神器能力を発動させ、相手の攻撃を回避しばがら距離を取っていく。が、いくら次の行動が把握が出来ても敵の攻撃が早すぎて少しずつ回避が間に合わなくなっていく。
「が⁉」
そして、遂にその腕が橘さんの体を捉え、橘さんを地面に叩き付ける。
「橘さん⁉」
追撃をかけようとする化け物。まずい!あのままだと橘さんが!
「・・断罪!」
化け物の注意をこちらに向かせるため、胴に今できる全力の攻撃をする。
「・・ルルル」
・・こちらに注意を向けることは出来た。けれど、断罪を使ってもダメージをほとんど与えられていないことに改めて気が遠くなる。
「グオヤァア!」
橘さんの時と同じように腕を振るってくる化け物。
「くっ・・ああ!」
回避は難しいと判断し神器で防御するが力が強すぎて飛ばされてしまう。
飛ばされると同時に体制を立て直したのでなんとか着地は出来た。が、化け物が即座に詰め寄りまたも腕をこちらに振るう。
「ぐ⁉」
左肩のあたりに直撃し、地面を転がされる。
・・あれ、左腕が・・動かない?
ほとんど感覚が無い。折れてはいないと思うけど・・。
「くっ!・・ぐっ!」
化け物は休む間もなく私に攻撃を浴びせてくる。
「アルム!・・くそ!邪魔すんな!」
・・神器を盾に何とか耐えるが一撃一撃が重く防御してもダメージが蓄積されていく。
段々と意識が遠のいていく・・負けない・・私はこんなところで・・。
朦朧とする意識のせいで神器を手から離してしまう。
あ・・不味い・・。
攻撃を防ぐ手段がなくなり化け物の腕が私を潰そうと・・する直前だった。
「・・させるか――――‼」
顔に何者かからの攻撃を受け、化け物が鈍い音と共に吹き飛んでいった。
「グヤアアアァ!」
突然の不意打ちをくらい大きくのけ反る化け物。
・・この声は・・もしかして。
「・・咲夜・・さん?」
「遅れて悪い!こっからは俺に任せろ!」
・・・・最高の助っ人の登場だった。




